グローバル人事の「目」(第6回)--海外拠点で「価値観」を浸透させる極意とは?
A社はグローバル化の先駆け的存在であり、海外現地法人まで価値観浸透は出来ていると世間では思われている。しかしグローバル化の進展で、海外現地法人と現地社員の数が3年で7倍となった。何とか海外社員の頭数は揃えたが、技術やマネジメント面の教育不足と価値観の不徹底により、各海外現地法人で今まで考えられなかったミスが多発。海外現地法人の自力では解決できず本社から支援が必要なトラブルも発生する事態に陥った。
そこで急遽、本社と各現地法人のキーマンが、新たに採用した人材の質の短期向上を実現させるプロジェクトを組成した。技術やマネジメント面は駐在員を一時的に増やしてOJTを充実させたり、マネジメント研修を増やしたりするなど、従来の方法で何とかレベルを向上させることができた。
しかし価値観浸透に関しては中々思ったように進まず、手を焼いていた。今までの価値観浸透のやり方は、日本からの駐在員が不退転の覚悟で現地に入り込み、仕事の仕方や本社の価値観をたっぷり時間をかけて叩き込むというものだった。しかし、こうした方法では、海外現地法人の成長スピードに追い付かないのである。そこでグローバル企業の価値観浸透のやり方を学び、価値観の定義と浸透方法を刷新したのである。