グローバル人事の「目」(第6回)--海外拠点で「価値観」を浸透させる極意とは?
◆価値観が海外社員の「判断基準」になるように定義する
実はグローバル化に成功している企業は価値観の定義と浸透方法がほかの企業の方法と異なっている。
まず価値観は「価値観を体現した行動」ではなく「現場での判断基準」で定義されている。現場で何かが起きた時に「何を行い」「何を行ってはいけないか」が極めて明確だ。
例えば米国サウスウエスト航空は徹底的なコスト削減を行うことで有名であるが、顧客サービスは顧客が喜ぶことでコストがかからなければOKという判断基準を持っている。この定義により客室乗務員やパイロットが顧客に親しみをこめて接することはコストがかからないのでOKだが、ジュースを配るようなことはおカネがかかるのでNGと、簡単に判断できるのである。
価値観の浸透ためには、価値観を明文化したものを説明するにとどまらない。現場でよく発生し、判断に困る事例を挙げ、価値観に照らし合わせた場合にどう判断するべきかを、従業員に徹底的に議論させている。
◆ワークマットを活用して価値観を浸透させたA社の例
日系大手の自動車部品メーカーのA社は、前回の連載で紹介したワークマットをもとに、判断の難しい事例を議論させることで、グローバル全体の価値観徹底のスピードアップに成功している。