レイトンストーンの事件の直後、現場に行ってみた。近所の主婦は「テロ事件があったからこそ、われわれは平常時の暮らしを続ける。自粛したり、何かを止めたりしたらテロリストが喜ぶだけだ」と話してくれた。ごく普通のおばちゃん然とした人でもこんな言葉を口にするのだから驚きだ。
ロンドンでは行政や警察はもとより、そして市民もテロ事件が起こることを想定内として日々行動している。具体的な施策としては「徹底的に監視すること」が挙げられる。
あらゆるところに監視カメラ
空港や駅などの人が集まるところはもとより、スーパーのレジや街の通りや広場、商業施設の通路など、文字通り「あらゆるところ」がCCTV(監視カメラ)で見張られている。
ロンドンの象徴的なアイコンの1つ、二階建ての市内バスには1台当たり15台ものカメラが備え付けられており、映像は運転手が見るだけでなく、総合司令室にリンクされ、非常時の対応が迅速に行えるようになっている。
さらに、当局がその気になれば、交通機関で利用する非接触式ICカード「オイスター」のデータを追跡することで「だれがどこで働いているか」などの個人情報も把握可能だ。「不審な動きがある」といった情報が寄せられた際、前述のCCTVのデータとともに分析すれば怪しい企てを未然に防ぐための手掛かりになる、と言ってもいいだろう。
では、欧州はいま、安全に旅行できる場所なのだろうか。
徹底的な監視と当局の警備強化といった予防措置のおかげで、市民は表向きには普段と変わらない暮らしを送っている。日本から観光や出張で訪欧しても、特段の不便を感じないで過ごすことができる。したがって、過度な心配をしたり、まして訪問の自粛などをしなくてもよいのではないだろうか。万が一、緊急事態が起きた際に、気をつけるべきことは、より正確な情報を入手すること。的確に災難や危険から逃れるためには、それがもっとも重要なことだ。
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