松本:いえいえ。ほかの国でもそんな例はあるんです。イギリスは基本20%ですが、家庭用燃料や電力は5%になっている。そして食料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、医薬品には消費税がかからない。
木本:基準はあるんですか。
松本:国によって日々使うものに関しては、税率を下げるやり方だったり、あるいはぜいたく品の税率は高くするとか、品目によって変えたりとか。
木本:ハムとか加工食品は軽減税率には入らないんですよね? 新聞で読みましたよ(対談後、加工食品も軽減税率の対象に)。
松本:そういう各論もありますが、国というのは自分たちがやることは間違いがないというね。いわゆる官僚の無謬性(むびゅうせい)といわれますが、「完璧なものを私たちは作ります」と言っている。で、決まったあともたぶん「これは完璧にやりました」と言うわけです。ところがね、絶対うまくいかないわけです。
完璧なシナリオはうまくいかない
木本:お笑いもそうだ。あまりシナリオを書きすぎても、お客さんの反応やその場の雰囲気もありますし、うまくいかない。目に浮かぶようです。
松本:うまくいかなかったら変えればいいんです。ところが「いや、十分話し合って決めたことだから」なんてことが引っかかって、なかなか変えられない。いったん決めたことを引っ張っちゃう癖があるのが政府なんですね。だから軽減税率を議論する際にも、「国民の皆さん、たぶん間違いますがとりあえずやります」と言えばいい(笑)。「1年後、2年後、3年後に改善していきます、だからまずやりましょう」と開き直ったほうがいいと思うんですよ。
木本:でも国が「もしかしたらいろいろ不手際出てくるかもしれんけど、やってみるんです」と発表したら、またニュースでボロクソ言われるでしょう?
松本:ボロクソ言われますね。
木本:「国はなにやっているんだ」と。
松本:軽減税率の運用コストをどうするとか、レジはどう対応するのか。値札にはどう表示するのか。わかっているだけでも問題が山積みです。
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