先行コマツ、強敵も参戦 “沸騰”無人ダンプ市場

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だが、「これ(鉱山機械)が増えるとものすごい影響を及ぼす」(コマツの野路國夫社長)。建機大手にとって戦略的に重要な市場だ。

3階建てビルに匹敵する高さのダンプトラック、小山のような油圧ショベルなど超巨大な鉱山機械の価格は1台数億円と超高額。しかも、コマツ、キャタピラー、日立建機による寡占市場であるため、言い値に近い価格で飛ぶように売れている。各社とも早期の増産投資を計画する。

さらに、過酷な環境で使用される鉱山機械はおよそ4年に1回オーバーホールし、磨耗したエンジン、モーター、油圧機器などを総交換する。地味だが非常に儲かる補修部品の売り上げが、機械の本体の売り上げより大きくなる。

無人ダンプが必要な理由

ここに来て大手鉱山会社で、有人運転の鉱山用ダンプではなく、さらに高額の無人ダンプの導入機運が高まっている。その背景には、列車や車両の運転手、地質専門家、採掘計画を立てる鉱山技師など鉱山にかかわる人材の全般的な不足がある。

資源景気に沸き立つオーストラリアでは、この数年で人件費がハネ上がり、今ではダンプ運転手の年収は軽く数千万円を超える。休日に都会に帰る飛行機代も鉱山会社が負担。鉱山会社同士が札びらを切って人材を奪い合う光景も日常茶飯事だ。

問題は単なる人件費の高騰にとどまらない。これだけの高待遇をぶら下げてもなお人が集まらないのだ。

現在、人材獲得競争が最も白熱しているオーストラリアの鉄鉱石産地、ピルバラ地区の気象条件は厳しい。12月ごろから始まる夏は40度以上の酷暑が襲い、瞬間風速100メートルを超えるサイクロンも猛威を振るう。炎天下、12時間シフトで働く条件でも、一昔前ならプール付きの家さえ提供すれば労働者は満足していた。が、「高等教育機関など社会基盤が不十分な鉱山で生活することに、労働者の抵抗感が高まっている」(リオ ティント ジャパンの木島俊太鉄鉱石室長)。

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