先行コマツ、強敵も参戦 “沸騰”無人ダンプ市場

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その三一も近年超大型ダンプを造っているが、「一般建機のような存在感はまだない」(コマツの岩田常務)。中国メーカーは、まず中国国内で力をつけてから世界に繰り出すのが定石。ところが、この必勝パターンを鉱山機械では採ることができないでいる。中国には無人ダンプはおろか、超大型の鉱山機械を必要とする現場がほとんどないからだ。

中国は世界最大の石炭、鉄鉱石の消費国である一方、世界の40%強を生産する世界最大の生産国でもある。しかし、採掘の大部分は、地表から坑道を掘って採掘する坑内掘り。露天掘りの現場もあるが小規模で、30~40トン級の一般的な大型機械で事足りてしまう。

国内に鉱山機械の市場がないため、いきなり海外に打って出るしかないが、機械のトラブルが大きな損失に直結する鉱山会社向けでは、安値だけでは通用しない。高品質はもちろん、機械の生涯にわたり、鉱山の奥地でアフターサービスを徹底できるかどうかが成否を決める。「サービスは一朝一夕にはできない。お手並み拝見だ」(日立建機マイニング事業本部の高瀬利彰副本部長)。

コマツの野路社長は、「鉱山機械ビジネスのカギは二つ。顧客と信頼関係を築くこと、そして無人化だ」と言い切る。運行管理まで含めたシステム力が必要となる無人ダンプでは、土俵に立てるのは限られたプレーヤーだけだ。

先行するコマツ、追いかけるキャタピラー、日立建機──立ち上がった無人ダンプ市場をめぐり、大手建機の戦いが幕を開けた。

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(長谷川 愛 =週刊東洋経済2012年8月4日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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