先行コマツ、強敵も参戦 “沸騰”無人ダンプ市場
赤茶けた大地が広がる西オーストラリアのヤンディクージナ鉄鉱山で、7月18日、10台の無人ダンプトラックが運行を開始した。
ここピルバラ地区で2015年までに150台以上のコマツ製の無人ダンプを走らせるという、英豪資源大手リオ・ティントの「マイン・オブ・ザ・フューチャー(未来の鉱山)」構想の大計画の一つが、本格的に幕を開けた。
「これまで無人ダンプは技術力を示す広告塔でしかなかった。が、近い将来に間違いなく必要になるシステムだ」。コマツの岩田和彦常務は、GPS(全地球測位システム)を活用し、遠隔操作で効率のよい経路を走行する無人ダンプが世界の大規模鉱山で主流になると確信する。
ライバルも開発急ぐ
08年1月、チリのコデルコが保有するギャビー銅鉱山で、コマツが開発した無人ダンプが世界で初めて商業的に導入された。4年経った現在でも無人トラックの商業稼働は、チリと今回のオーストラリアを合わせても約30台にとどまる。だが、水面下では「ほとんどの大手の鉱山会社から導入したいとアプローチがある」(岩田常務)。
コマツが先陣を切った無人ダンプ市場に、ライバルも参入を急ぐ。
鉱山用ダンプでコマツとシェアを二分する建機の巨人、米キャタピラーも、無人ダンプの実用化を着々と進める。資源メジャー最大手、豪英BHPビリトンの米国ナバホ石炭鉱山で、数台が試験走行を繰り返している。豪フォーテスキュー・メタルズ・グループが開発するオーストラリアのソロモン鉄鉱山では、今年後半から15年までに約45台の無人ダンプが商業稼働する計画だ。
190トン級以上の超大型油圧ショベルで首位級シェアの日立建機。鉱山用ダンプでは08年に本格的に市場参入した後発(シェア10%弱)の同社も、無人ダンプの開発を急いでいる。クラリオン社の前車追従技術や、ロボットに使われる障害物を検知するセンサー技術など、日立グループの力を結集し要素試験を継続。辻本雄一社長は「来年か再来年には走行試験をしたい」と意気込む。