先行コマツ、強敵も参戦 “沸騰”無人ダンプ市場
数カ月の研修を経て現場に投入した人材が、短期間で離れてしまうケースも増加。リオ・ティントをはじめとする資源会社は「人に頼らない操業を求めている」(木島氏)。
建設機械のオペレーターでも、とりわけ不足しているのがダンプの運転手だ。年間8000台の鉱山機械の需要の中で、ダンプは6割強と圧倒的に多い。現場では、掘削機の油圧ショベル1台につき、運搬用のダンプは5~10台必要とされている。1日3交代として、ダンプ1台につき4~5人の運転手を用意しなくてはならない。鉱山を省人化するカギは、ダンプの無人化にある。
安全面からのニーズも大きい。
コマツが無人ダンプの運行システムの開発を行っているインドネシアのアダロ石炭鉱山。現場は100トン級のダンプがひしめき合い、事故が多発している。
一度重大事故が起きれば、鉱山の監督機関から操業改善を厳しく指導され、一帯の採掘が止まってしまう。莫大な経済的損失に加え、労働者の精神的なダメージも計り知れない。現場を1回視察するだけの訪問者にも安全講習と試験を課すほど、安全確保は最重要。ヒューマンエラーを最小化できる無人ダンプの価値は大きい。
生産性の向上への期待も高い。有人運転のトラックでは、どうしても運転手の交代や食事、トイレ休憩などで機械を止めざるをえない。速度の緩急など運転にバラツキも出る。無人運転ならこのような問題は起きないうえ、機械の傷みやタイヤの摩耗、燃料消費も抑えられる。
中国勢との差別化にも
無人ダンプは、新興メーカーに対する差別化の切り札でもある。
新興勢の代表格が中国の建機大手、三一重工。低価格を武器に日雇い工事で稼ぐ中国の個人客を取り込んで急成長。中国市場では、11年に油圧ショベルの販売台数でコマツを抜き首位に躍り出た。