商品や技術の“かけ算”で勝負する--花王・澤田道隆新社長

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ただ、いくらそういった製品を摂取しても、一方で高カロリーな食事を続けていては意味がない。われわれとしても、単に製品・商品をそろえていくだけでは限界がある。アイテム単品だけでなく、健康維持のシステムをビジネスとして育てたい。

--製品・商品やサービスを組み合わせるんですね。

そうだ。その一つが先日発表した、味の素とともに取り組む情報提供サービス『クピオ』だ。健康診断の結果から将来病気にかかるリスクを分析したり、そのリスクを減らすために何が必要かを提案したり、健康維持のツールとして広く一般に使ってもらえるようにしたい。味の素はカロリーを抑えた食料品とか、アミノ酸を用いた健康分析ツールとか、幅広い技術を持っている。互いの特性を組み合わせ、また味の素以外との提携も視野に入れながら展開を進めたい(関連記事:花王子会社に味の素が出資、メタボなど生活習慣病予防の情報提供事業で提携開始)。

--化粧品での新たな展開は。

現状、かなりシェアを上げていて、業界の中では検討している。2006年にカネボウと一緒になってからというもの、拡大しすぎていたブランド数の削減、広告宣伝の選択と集中などに取り組み、いま相当いい方向に進んできた。

そこで次のステップとして、そろそろ原点への回帰、すなわちブランドの再構築に着手したい。世界にたくさん化粧品ブランドがある中で、花王、カネボウの化粧品は女性の美に対して何をしたいのか。原点への回帰とは単に過去に戻るのではなく、ゼロから事業を立ち上げてきた思いがあったはずで、そこに立ち戻りたい。

たとえばソフィーナであれば、はじめは皮膚化学に基づいた“エビデンス型化粧品”として立ち上がった。これが女性から見てちゃんとわからなければならないが、いまは大きな構造改革を優先した中で少し不明確になってしまっている状態だ。これを再び明確にするために、どんな商品、どんな伝え方、どんな売り方がいいのかを再考するべきタイミングに来ている。

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