花王子会社に味の素が出資、メタボなど生活習慣病予防の情報提供事業で提携開始
花王と味の素が健康ソリューションビジネスで提携する。29日、帝国ホテル(東京)で両社が会見を開き発表した。花王の子会社であるヘルスケア・コミッティー社(以下HCC社)の発行済株式の33.4%を味の素が取得、取締役2名を派遣する形。メタボリックシンドロームなどの生活習慣病患者とその予備軍の増加を背景に、両社はHCC社が行う予防・生活改善に関する情報提供事業のサービスを増強。個人向けのカウンセリング機能も備えた“健康ポータル”に育て上げる狙いだ。
2008年に花王傘下に入ったHCC社は、設立以来生活習慣病などの予防医学研究を行ってきた。一人一人の健康診断データに基づいた生活改善情報提供事業「QUPiO(クピオ)」は05年にスタート。今後はアクティブシニアの増加に合わせ、足腰の健康維持など運動機器症候群の予防にも目を向けていくという。
また従来は健康保険組合など法人を通じてのみ行ってきた同サービスを、今後は消費者個人向けにも拡大。ドラッグストアなど流通との連係で認知度を上げ、中長期で登録ID数を500万まで増やしたい考えだ(現在は150万ID)。
味の素は調味料製造などの主力事業に加え、長年のアミノ酸研究の知見を生かし、アミノ酸解析による疾病のリスクスクリーニング事業を行ってきた。今後は胃がん、肺がんなどに加え、生活習慣病にも適応領域を拡大。「QUPiO」内でも同サービスを展開するほか、一人一人のアミノ酸分析に基づいた献立、運動メニューの紹介なども担っていく予定。
伊藤雅俊・味の素社長は今回の提携について「個人向け、テーラーメードの健康ソリューションとして高度化できると考えている。また生活改善につながるアイデア、エビデンスの獲得にもつながる」と、本業であるものづくりへの好影響にも期待する。
両社は12~15年を「QUPiO」事業の第1期と定め、まずは個人向けサービスの拡充を推進。その後は国内利用ID数の拡大を図るとともに、海外への展開も模索するという。“健康ソリューション”をキーワードに、国内や「QUPiO」にとどまらない提携も実現していきそうだ。
(長瀧 菜摘 =東洋経済オンライン)
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