被災地で高齢者を守る「1人訪問看護ステーション」の奮闘

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福島市内でデイサービス事業所などを営む「NPO法人まごころサービス福島センター」の須田弘子理事長(67)は、1人訪問看護ステーションの認可を得るべく奔走してきた。そして同じ職場に勤務する看護師の佐藤かつ代さん(66)が1人訪問看護ステーションの開設にこぎ着けたものの、先に述べたように福島市が継続を認めなかったことから、わずか1カ月で事業断念に追い込まれた。

しかし、佐藤さんらはあきらめていない。福島県南相馬市の設置認可を得たことで、福島市内で避難生活を送る南相馬市出身の80歳代の女性への訪問看護を8月から開始する。「訪問看護が入ることで、安心して在宅生活を送っていただきたい」と佐藤さんは語る。

とはいうものの、「1人訪問看護」は風前の灯火になりかけている。もともと震災に伴う特例措置として認められたうえに、「1人では24時間365日の対応ができない」などとして日本医師会や日本看護協会など医療団体の反対が強いことから、今年9月末の期限到来とともに特例措置は打ち切りとなる可能性が高まっている。そうなった場合、1人訪問看護ステーションは維持できなくなる。

東日本大震災の被災地では、医療や介護のニーズは刻一刻と変わっている。「現在の仕組みでニーズは充足している」とする自治体が、被災者の状況を把握できているとは限らないことも明らかだ。厚生労働省は被災地や利用者の実態を踏まえたうえで、特例措置継続の可否を判断すべきだ。
(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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