超売れっ子になる人に共通する「6つの法則」 累計6000万部を売った編集者は見た!
僕は混乱しました。対面の打ち合わせを1時間前に要請する編集者がどこにいるでしょうか。しかしこのときようやく、自分の過失――「電話で」という一文を添えなかったこと――に気づいたのです。
すぐさま謝罪をして事情を説明すると、「え、そうなんですか、よかったです……」と体の芯が抜けたように脱力し、「じゃあ、(お忙しいと思うので)帰ります。あとは電話で打ち合わせしましょう」と踵を返すのです。いやいや、もう今ここでやればいいじゃないですか……。
僕が誤解させるメールを送ったことが原因にもかかわらず、川原さんは一切、僕を罵倒したり、叱責しようとはしませんでした。自分が看板作家(成功者)であることなど毛頭考えていません。
他にも、僕たちが飲食店に入るとき、川原さんは必ずドアボーイのごとく、自らドアを開けて同伴者を尊重しようとします(恐縮すぎるのでやめてほしいです)。どんな些細な用件ひとつとっても、「こういう相談があるのですが、三木さんは問題ないでしょうか?」と確認をとってくるのです。
その理由を聞くと、「自分ひとりの力で為し得たわけではないから」だと川原さんはおっしゃいました。小説は、ひとりで創り上げられるものではありません。イラストレーター、デザイナー、印刷所、編集者などなど……成功者だからこそ、彼らが欠けたら何もできないことを理解しているのです。
横暴な振る舞いは、かならず悪評となって返ってきます。そして、善意でその愚行を諫めてくれる人間はどんどん減っていきます。多くの成功者は、そんな愚行を犯さないものなのです。
オリジナリティを求められる作家は、必ず自分だけの「武器」を持っています。
たとえば、僕が担当する、とても知識豊富なある作家の武器は「百科事典」です。彼の作品では、自然科学や最新テクノロジー、異端宗教や魔術系オカルト神話などなど、あらゆる分野に食指を伸ばしてネタを練っておかねばなりません。
なにか新しいネタを模索するときに大切なのは、まずは頼ってみるもの、参照する聖典のような存在を自分の中でキープしておくことです。これは本に限らず、演劇や公演だったりニュース系ウェブサイトだったり、自分の感性と合うものならなんでも構いません。
成功している作家は全員、仮に同じシナリオで同じことを書いたとしても、数行読めば誰が書いたかすぐに分かります。それほど、彼らの文体には「個性」が宿っているのです。そして「個性」は彼らに武器を与え、その武器を研ぎ澄ますのが「聖典」をもとにした作家独自のアイデアであり、文章語彙力であると僕は考えています。
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