斬新スマホ「NuAns NEO」は何が新しいのか 6人で作ったWindowsPhoneの誕生秘話

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繰り返しになるが、中国には星の数ほどのEMS企業があり、スマートフォンをメニューとして持っている会社も少なくない。そうした中で、適切なパートナーを探し出すのは、針山から特定の一本を探し出すようなものだ。

しかし、マイクロソフトはWindows 10 Mobileを盛り上げていくため、中国の優秀なEMS企業を探し、パートナーシップを結んで、NuAns NEOプロジェクトのようなスマートフォンプロジェクトとエンゲージメントする「CTE(China Technology Ecosystem)」というプロジェクトを進めていた。CTEを活用し、マイクロソフトと連携しながらパートナー候補を絞り込むことができた。

我々のパートナーに対する条件はシンプルだが、実は見つけることが難しい。

条件は完全にオリジナル設計のWindows 10 Mobileデバイスを、共に開発してくれるパートナーであること。しかし、どのEMS企業も一度デザインしたシャシーデザインを、たくさんのパートナーで使い回したい。あらかじめリファレンスデザインで設計しておき、それを色違いで買ってもらえるのが、一番手間がかからず確実に利益を挙げられるからだ。

パートナー企業も「野望」を持っている

CTEを通じて交渉したパートナー候補のEMS企業は10社にのぼる。”他製品には似ていない新しいデバイスを作ること”に興味を示す会社もいくつかあったが、具体的なプランを詰めて話し始めると腰が引けてしまう。最終的に我々が、”2016年のトレンドを見すえて考える仕様要件”を満たした設計をゼロからやってくれるEMS企業を絞り込んでいくと1社しか残らなかった。

彼らを口説くことができたのは、我々の熱意と決心があったからだとも思うが、実はパートナーとなったEMS企業にも野望があった。彼ら自身の目的を達成するために、パートナーシップを成立させた方がいいと考えたのだろう。

パートナーとなったのは、技術力も歴史もある大手EMS企業である。STB生産で大きく成長し、多くのクライアントも抱えていたが、既存の事業が大きかったがゆえにスマホの設計・生産への移行に出遅れた。Androidスマートフォンを作れる企業は多い。単に技術力と資本力がしっかりした実績ある企業というだけでは事業を拡大できなかった。

そこで彼らは、マイクロソフトおよびクァルコムとパートナーシップを結んでWindows Phoneを得意とするEMS企業として経験を積むことにしたのだ。そして、さらにライバルに対して巻き返していくために、差異化された製品を開発した事例を作ろうとした。そうした目論見と、我々のユニークな製品プランがマッチしたことで、単なる外注先ではなく、同じ目標を持つパートナーとして意識してもらうことができた。

このようなパートナーとの関係構築は、NuAns NEOを特徴付けている外装の仕上げなどにも大きくかかわっている。

次回はコンセプト作りと、パートナー作りの詳細について、掘り下げて行くことにしたい。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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