斬新スマホ「NuAns NEO」は何が新しいのか 6人で作ったWindowsPhoneの誕生秘話
Windowsを選んだ理由は後述するが、それ以前に、昨年時点ではWindows Phone 8.1を日本市場向けの端末に採用するには大きな壁を越える必要があった。
Windows採用のスマートフォンは2011年末に発売された「IS12T」が最初で最後でだった。このためスマートフォン向けWindowsは日本市場のサポートが、極めて弱い状況だったのだ。
対応する電子地図は日本国内の道路・地理情報をほとんど掲載しておらず、フォント(文字デザイン)も中国向けデザインが流用されるなど、日本市場に投入するには、独自に何らかの代替機能を提供する必要があった。
たとえ採用しても、日本のユーザー向けに完全な機能が提供できない中途半端な製品になってしまっては迷惑をかけてしまう。
そこで、マイクロソフトが確実にWindows 10 Mobile(スマートフォン向けのWindows 10)を日本市場でも立ち上げるという確約が必要だった。日本市場でも地図がサポートされ、電子秘書機能も日本で使えるようになると確認できたのは昨年末。そこでやっと、スタートラインに立つ準備ができた。
企業ユースにも適したプラットフォーム
では、なぜWindowsにしようと考えたのか。
まず企業ユースに適したスマートフォンのプラットフォームがなかったことを挙げたい。唯一、ブラックベリーが企業向けには良い端末として知られていたが、その勢いは削がれて、特に日本の存在感はない。また、Windowsベースで作られている企業システムとの整合性が高く、また企業向けのWindowsパソコンと同じように管理機能も豊富だ。これらを考えれば、ある程度の企業向けニーズを満たせるのではないか。
我々のターゲットは、あくまでもコンシューマ市場だが、企業ニーズをある程度見込むことが出来れば、商品の企画として成立させやすくなる。この頃は、まだWindows 10 Mobileがパソコンの世界とスマートフォンの世界をシームレスにつなぐための機能を提供するとは発表されていなかったが、”ビジネスパースンが使いこなす道具としてのスマートフォン”にしたいという考えはふたり共通のものだった。
さらにふたりに共通する感覚的な部分で、ユーザーインターフェイスの実装や画面レイアウトなど、ソフトウェアのデザインにかかわる部分でAndroidよりも洗練されていると感じていたことも大きい。
そしてなにより、Androidスマートフォンは自分たちが開発しなくとも、既存製品が数多く存在している。ゼロからコンセプトを作り、設計までするならば、発売されている製品数が少ない、しかし成長する余地の大きいプラットフォームがいいと考えたのだ。
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