「一流の気づかい」はANA社員に学べ! 目立たない気づかいこそが「金」
キドニトチカケの話で、会話が弾んできたら、とくに相手が関心をもっていそうなことをさらに踏み込んで尋ねていく。そうすることで、お客様との距離を縮めていくことができるのです。
3:「すぐ行きます」ではなく「20分遅れます」
時間は、自分のためだけにあるものではありません。自分のとる行動が、相手の予定に影響を与えるという場合、相手への気づかいはとりわけ大切になります。
ANAのある機長は、「伝えるべき情報があれば、なるべくそれを具体的にお客様に伝えるのが、パイロットの気づかい」と話します。機内アナウンスをするときも、「あと少しで到着する」「揺れがしばらく続く」でなく、「約10分後に到着する」「揺れが20分ほど続く」といった具体的な言葉をできるだけ使うようにしています。いい情報も悪い情報も誠実にオープンにすることが相手への気づかいであり、信頼につながるのです。
なるべく具体的に見通しを伝えるという気づかいは、航空機のアナウンスにかぎった話ではありません。たとえば、どうしても納期に間に合わせられないという場合、あるいは、どうしてもデートの約束に遅れそうだという場合でも大切です。
「何日の何時までにはお届けしますので」とか「何分後には行くからね」などと、遅れるときこそ相手になるべく具体的にイメージしてもらうことが重要です。曖昧に「あとちょっとで着く」とか「少しだけ遅らせていただけませんか?」と言っても、相手はどうしたらいいのか、わかりません。
ただし、「予定を伝えるときは具体的に」という気づかいには、ひとつだけ注意点があります。「過少申告」をすべきではない、ということです。
たとえば、相手と10時に会う約束が、電車の遅れなどによって到着が10時30分になってしまいそう、という場合があります。このとき、「10時30分にはなんとか間に合う」と思っても、「申し訳ないのですが、待ち合わせを11時にしていただけませんか」と、余裕をもたせて予定を伝えます。
約束の時間に間に合わないとき、人は「なるべく相手によく思われたい」と思いから、つい実現できるかどうか微妙な遅延時間を伝えようとしてしまいます。しかし、「10時30分にはなんとか間に合う」と言っておきながら、実際の到着が10時45分になってしまえば、相手に「さらに遅れた」と悪いイメージが残ります。
一方、余裕をもって「11時にしていただけませんか」と伝えて10時45分に到着できれば、「意外と早く着けたね」と、遅刻のなかでも好印象をもってもらえるかもしれません。
ここでご紹介した「気づかい」は、航空業界に限らず、さまざまなシーンで応用できるものです。ちょっとした「気づかい」で、まわりの人にとっても、自分自身にとっても働きやすい環境をつくることができます。ぜひ試してみてください。
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