「一流の気づかい」はANA社員に学べ! 目立たない気づかいこそが「金」
そこまで観察していなかったときや、観察していても推測できないときもあります。そのようなときには、「お水ですね、承知いたしました。いかがなさいましたか」とダイレクトにその方になにを求めているのかをお聞きするのも手です。
これに対してお客様が「ちょっと暑くてね」などとおっしゃれば、「では、冷たいお水をお持ちしますね」と言って、冷水とともにおしぼりを渡せばいいですし、「いや、別に」などとおっしゃれば、「このお客様はそこまで聞かれたくないのだな」と察して、「すぐお持ちしますね」と応えればいいのです。
要望の“その先”を読むには、「お困りのことはないか」とつねに意識しながら、お客様を観察しておく必要があります。
オフィスでも、「困っていることはないかな」と意識していれば、「電話の声のトーンが暗い」「身だしなみが乱れている」といった部下の変化にも気づきやすくなります。部下は困っていても、言い出せずに悩んでいることはよくあります。しかし、上司が部下のことをつねに気にかけていれば、ちょっとした変化やSOSに気づき、サポートすることができます。
2:「キドニトチカケ」で相手との距離をはかる
ANAのCAは乗客と接するとき、あいさつに加えて、可能な場合はもうひと言、相手との関係を親しくするための言葉をかけようと試みます。
あるベテランCAは、「相手とアイコンタクトをして、かつもうひと言のお声がけをして、相手に一歩踏み込もうとします。これができるかどうかで、その後のコミュニケーションが違ってきますし、雑談でお客様との距離を縮めることができます」と話します
しかし、相手に「おはようございます」とあいさつした後、その次の言葉が出てこなくて、かえって相手との接し方がギクシャクしてしまったという経験をもっている方もいるかもしれません。そこで、あいさつの後の「もうひと言」が大切になります。
また、別のCAは、「まだ親しい間柄ではない相手に対して、深く入りすぎない程度のことをお話しするとき“キドニトチカケ”の話をしている」と言います。
「今日もお暑いですね」「いい天気になりましたね」
「ワインのこと、お詳しいのですね」「カメラはよくお持ちになるのですか」
「今朝のニュース、びっくりしましたね」「○○は、いま大変な人気ですね」
「到着地の○○ではカニが旬だそうですよ」「向こうはいま祭りの時期ですね」
「○○さん今度、結婚するんですってね」「○○さん、転職するんですってね」
「お子さん、いま何歳でいらっしゃるんですか」「どちらに帰省されるんですか」
「若々しいですね」「姿勢がとてもいいですね」
初めの会話の段階では、チ(知人)、カ(家庭)、ケ(健康)などは入り込みすぎるため控えたほうがよいですが、それでも、キ(気候)、ド(道楽・趣味)、ニ(ニュース・人気)、ト(土地)などの話は気軽にすることができます。