箱根駅伝、勝ち上がる弱小校のすごい「戦術」 雑草軍団による大物食いには"理由"がある

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20年前、「中央学院大学」を知っている人がどれぐらいいただろうか。ノンブランド校を率いて、箱根駅伝で毎年のようにシード権争いに加わってきたのが、中央学院大学・川崎勇二監督だ。現在、13年以上連続で箱根駅伝に出場しているのは、東洋大学、駒澤大学、日本体育大学、早稲田大学、山梨学院大学、中央大学、そして中央学院大学の7チームしかない。

箱根駅伝の優勝は目指さない

川崎監督のスゴイところは、「割り切った指導」ができることだろう。「箱根駅伝の優勝より、ひとりでも多くの実業団選手を育てたいんです」。ここまでキッパリと言い切れる指導者はいない。川崎監督のマネジメントは、箱根常連校の中で特異な性質を持っている。

「箱根で勝つことを考えると、やっぱり無理があると思うんですよ。まずは選手に負担をかけるということ。それなりにポテンシャルの高い選手を勧誘しないといけないという、自分自身のストレスもあります。これは、『逃げ』になるかもしれませんけど、大学で優勝できなくても、ひとりでも多く実業団に行って活躍してもらいたいと思っています。

選手たちには、『大学で燃え尽きたいなら、私の練習では絶対に無理だから、自分で上乗せしなさい』と言っています。同時に、実業団に行きたい選手には、大学でやっていることを継続できれば、実業団でも必ず通用するからという話もしているんです」

箱根駅伝の優勝を目指すのではなく、将来のために選手を強化していく過程で、タイミングが合えば勝つこともあると川崎監督は考えているのだ。

トレーニング量が少ない分、別のアプローチで選手たちを強化している。それは「ランニングフォームの指導」だ。箱根駅伝の常連校ともなると、基本的に速い選手ばかりということもあり、フォームを細かく指導するチームは少ない。

「効率のよいランニングフォームの習得と、効率のよい練習をするのが私のやり方です。フォームについては動画撮影をしますし、一人ひとり具体的にアドバイスしています」と川崎監督。

選手勧誘の“視点”もほかの大学と大きく異なる。たとえば、現在4年生の潰滝大記は、高校時代、粗削りなフォームで、3年生の春まで目立つような活躍はしていなかった。しかし、その走りを見たときに川崎監督は大きな可能性を感じたという。

「走り自体はよくなかったのに強かった。フォームを修正すればもっと強くなるぞと思いましたね。私の勧誘はそういうところなんですよ。完成品よりも、指導したいと思う選手に声をかけています」

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