共同生活をするにはユニークがすぎる義母であるが、ゆかりさんは「他人と暮らすというのはこういうこと」だと我慢をした。その後、耐え難い出来事が起きる。夫の浮気だ。
「彼はひとりでテニスサークルに入っていて、仲間と一緒に飲みに行くようになったのです。遠いときは泊まってくることも増え、問い詰めたら『好きな人がいる』とすぐに白状しました。20代後半のバツイチ女性です」
受け止めてくれた友達と実家の存在
妻を実家に同居させた挙句に自分は浮気する……。母親以上に無茶苦茶な男性である。ゆかりさんはすぐに離婚を決意したが、保育園での責任があり、すぐに辞めて地元の川崎市に戻ることはできなかった。ウィークリーマンションを借りて夫と義母との家を出て、3月末までは一人暮らしを続けた。
「保育園の仲間が引っ越しを手伝ってくれたし、遊びに来てくれたりしました。助けてもらったと今でもありがたく思い出します。それでも、『生きていてこんなに不幸なことが起こるんだ』と思ったぐらいに落ち込みましたね」
春になってようやく川崎市の実家に戻ることができた。両親は35歳の出戻り娘を「あっさり」と迎え入れてくれたという。帰る場所があるというのはありがたいことだ。ちなみに筆者も5年前の12月に離婚をして、長く一人暮らしをしていた町(東京・西荻窪)に戻ったことがある。馴染みの不動産屋で良いアパートを見つけてもらい、町の仲間には部屋作りを手伝ってもらった。西荻窪という温かい町がなかったら離婚の決断すらできなかったかもしれない。
地元に戻ったゆかりさんは、保育園で働きつつ遊びまくった。特に、昔から好きだった宝塚歌劇団にハマったという。2年後、いちばん応援していた団員が宝塚を卒業したことをきっかけにして、「次(のステージ)に行こうかな」と再婚を考え始めた。
「また結婚したらどうか、と勧めてくれる年上の方が周りにいたことが大きいですね。でも、ネット婚活ではプロフィールを入れただけで見ず知らずの男性たちから何十件もメールが来ました。ちょっと怖かったです。保育園の同僚に相談したら、ちゃんとしたアドバイザーがいる結婚相談所に入ることを勧められました」
ゆかりさんには相談や手助けを求められる友人が常に周囲にいる。それは、離婚でも再婚でも大きな支えとなった。ゆかりさんのきさくで素直な人柄の賜物なのだろう。
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