幻に終わった米国とパキスタンの核交渉 イラン合意に続くオパマ氏の功績とはならず

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米国はパキスタンと核ミサイル生産の制限について交渉を進めていたことが明らかになった(写真:boscorelli / PIXTA)

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米国が、パキスタンの核兵器プログラムを抑制すべく交渉しようとしていたことが明らかになった。米メディアは合意の成立が間近だと報じた。

しかし、外交および国家安全保障に関する主要顧問であるサルタージ・アジズ氏を含むパキスタン高官らの話では、進行中の合意などなかったという。むしろ、米国がパキスタン政府に圧力をかけ、戦術兵器や短距離ミサイルの生産制限要求に応じさせようとした印象だ。

パキスタンの政治指導者らは難しい立場に置かれた。同国の強力な軍部に対し核兵器開発に制限をかけるよう説得することなど、彼らには不可能だった。米国による働きかけは、安全保障に関するパキスタン国内の分断を深めただけだった。

パキスタンの指導者が望んでいたこと

パキスタンの指導者らは、急速に悪化するインドとの関係の修復に注力しようと決心していた。そのため、オバマ大統領とシャリフ首相の会談後に発表される声明の米国草案を受け取り、それがほぼすべて核問題に重点を置いているとわかると、修正に関する同意を取り付けるためにアジズ氏が1日早くワシントン入りすることが決められた。

アジズ氏は筆者との会話で次のように述べている。「国家安全保障担当補佐官のオフィスは、イランとの交渉の成功に続き、オバマ大統領の功績にもう一つ核関連の成果を加えたかったようだ」。

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