オリンパス社長・笹宏行「当たり前のことを実直にやれば、必ず復活できる」

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先日、ある機関投資家と話した際、「センサーにシナジーなどないのでは」とおっしゃっていて、驚きました。市販のセンサーを内視鏡に使えばいいという簡単な話ではないのです。内視鏡のセンサーは、お腹の中の撮影ということもあって、サイズ、明るさなど、かなり特殊なものが必要になります。このような特殊なセンサーが何種類も必要なので、それを高い品質で安定的に供給してもらえることは極めて重要です。競合他社はここまでの供給関係が築けていません。私どもの根本的な競争優位性がここにあるのです。

もちろん、今の供給関係はすでにあるので、資本提携となると、さらなるメリットが必要です。それは相手先企業も同様で、株主への説明責任もありますし、ウィン・ウィンの関係が描けないと、資本提携先は決まりません。

──オリンパス側から相手先企業に提供できるメリットとは。

これもケース・バイ・ケースです。たとえばテルモさんはすでに医療の基盤があるので、彼らにとって強い分野であるチューブなどの材料と、弊社のエレクトロニクス技術を結び付けるといったような、互いの強みを生かしたメリットが期待できます。ほかに名前の挙がっている会社ですと、医療事業への参入チャネルがないので、その点では弊社が協力できるでしょう。

──不祥事以前と、どのように異なるオリンパスを目指しますか。

以前の経営陣は、医療事業中心で行くとは示していませんでした。もちろん映像事業を切って捨てるわけではありません。しかし、実態を直視すれば、改革をしなくては会社が立ち行かなくなってしまうことは明らか。今後の方向性を社員全員が共有し、問題発覚前の姿に戻るのではなく、新しいオリンパスにならなくてはいけないと考えています。

ささ・ひろゆき
1955年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。82年オリンパス光学(現・オリンパス)入社。オリンパスメディカルシステムズ取締役などを経て、今年4月末に社長就任。

(聞き手:鈴木雅幸、島大輔 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年6月30日号)

 

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