「コミュ障」東電の伝達力は改善しているのか 東電改革のキーパーソンが語る3年間の成果

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――過去のインタビューで、東電の廃炉事業は分社化すべきだと語っています。その考えに変わりはありませんか。

東電から完全に分社化する、との意味ではなく、別事業にすべきだと話してきた。その点では、ほかの事業にしたのだから私のアドバイスに従ったと言える。

私は英国で、原子力公社の会長時代に廃炉に取りかかったことがある。廃炉には原発の開発や稼働とは別の技術が必要で、リーダーや経営陣にも違うスキルや資質が求められる。私の考えでは、廃炉事業のトップはまさにそれだけに集中し、仕事の本質的な価値を理解できなければならない。

廃炉はイノベーティブな作業

廃炉事業は、今後の世界に多くのメリットを提供できるイノベーションを起こすチャンスだ。このことについては、私自身も廃炉にかかわった経験から何度も考えてきた。世界には事故とは関係なく、近く寿命を迎える原発が数多くある。この「第一世代」は今後20年間で一斉に廃炉を迎える。安全かつタイムリーに廃炉を行うには非常に高度なスキルが必要で、間違いなくちゃんとした独立のビジネスになりうる。

日本には東電をはじめとする電力会社だけでなく、東芝や日立製作所、三菱重工業といった原発開発のエキスパート企業がある。こうした企業が一体になれば、廃炉という難問に対するイノベーティブな解決策を考え出せるのではないか。

――6月にはLIXILの社外取締役にも就任しました。LIXILでは何を期待されているとお考えですか。

ご存知の通り、6月から(東京証券取引所上場会社に対する)「コーポレートガバナンスコード」の適用が始まった。これによると、企業は社外取締役を少なくとも2人採用しなければならない。

安倍晋三首相も女性活用の促進を掲げているが、LIXIL経営陣は非常に先進的かつ進歩的で、コーポレートガバナンス改善のために何をすべきか理解している。LIXIL自体がグローバル化をさらに進めていくことも(私の起用の)背景にあるのではないか。

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