あなたの自賠責保険が安くならないカラクリ なぜ交通事故の死傷者減とリンクしないのか

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人身事故を起こすと巨額の賠償金を課せられるリスクがあります(写真:tsukat / PIXTA)

自動車やバイク(二輪自動車、原動機付き自転車)を運行する場合に、法律で加入が義務付けられているのが自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)です。自動車やバイクを運転中、他人をケガさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償事故を補償してくれます。有効期限は原則として車検が切れるまでで、その都度、自賠責保険も更新する必要があります。

自賠責保険の保険料は自動車やバイクの大きさによってさまざまながら、新車購入時は軽自動車で3万7800円、普通乗用車で同4万0040円(37カ月で計算)が、車両本体価格とは別に自動車税、自動車重量税などと一緒に払う諸費用に含まれます。新車購入から最初の3年が過ぎると車検の時期を迎え、更新するなら2年分を軽自動車2万6370円、普通乗用車で同2万7840円を払わなければなりません。

実際には交通事故を起こしてしまって、自賠責保険がカバーする範囲では補償できない可能性がありますので、ほとんどの人が任意の自動車保険に入るのですが、それにしても自賠責保険の保険料も決してバカにはできない金額です。車の維持費は何かと高く、少しでも安ければドライバーにとってありがたいでしょう。

自賠責保険は2013年に平均13.5%値上げ

そんな自賠責保険をめぐる状況をシンプルに考えてみると、不思議なことがあります。日本の交通事故による死傷者はかつてと比べて激減しているのに、自賠責の保険料は2013年に料率改定で平均13.5%値上げされていることです。

交通事故の死亡者数は、直近ピークの1992年は1万1451人でしたが、2013年には4373人とかつての6割前後に減っています。負傷者数も2004年に118万人でピークを迎えた後、徐々に低下し、2013年には78万人にまで減少しています。この流れを受けてか、自賠責保険の保険料は2008年に引き下げ改定されたことがありますが、その後も死傷者数は減っているのにもかかわらず、逆に上がってしまったわけです。

これにはれっきとした理由があります。実は自賠責保険への請求件数も支払金額も横ばいで、減少はしておらず、収支もかつてに比べると厳しい状況が続いています。

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