「原発は安い」の欺瞞を暴く経産省の内部試算 小泉純一郎氏が"脱原発"に転じたフィンランドでの光景とは?

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2004年、ある官僚が自民党の重鎮だった与謝野馨氏に「核燃料サイクルには膨大な国民負担が生じるため、一度立ち止まるべきだ」と話をしに行ったという。与謝野氏は元日本原子力発電勤務。日本に原発を導入した中曾根康弘元首相の紹介で日本原電に入社したと、自らネットで明かした原発推進派だ。すると与謝野氏はこう答えたという。

「君たちの言っていることは、全部正しい。ただね、原子力っていうのは『神話』なんだ。核燃料サイクル施設が動く動くと言って、目の前のトイレなきマンションをぽーんと30年先まで蹴りだすことができるんだ。再処理がまともに動くなんて、誰も思っていないよ。そんなこと俺もわかってるよ」

与謝野氏は核燃料サイクルが完成しないことはよくわかっていた。ただ、問題解決を先延ばしするための方便だったのだ。そして、やはり何も変わらなかった。

小泉元首相が目の当たりにした処分場の現実

高レベル放射性廃棄物の行き場がないまま、原発が動き、廃棄物をさらに積み上げている、という状況が続く。

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小泉純一郎元首相は、「現職時代、処分場はいつかできる、いつかできると言われていた」と2025年11月に都内で取材した際に私に話した。小泉氏は2013年にフィンランドの処分場であるオンカロを視察に行き、オンカロでも原発2基分の高レベル放射性廃棄物しか埋められず、壁から水が染み出てきているのを見て、脱原発に転向した。

「原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)」を立ち上げ、顧問として活動している。「私は『原発ゼロにしろ』って言ってるんだから。(どうして原発に戻るのか)分からないね。『脱原発は、やればできる』んだけどね」とも話していた。

廃棄物はいつかリサイクルできるようになる、処理場もできるというのは幻想であり、砂漠の逃げ水のように果てしなく先延ばしになっている。

青木 美希 ジャーナリスト

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あおき みき / Miki Aoki

札幌市出身。北海タイムス(休刊)、北海道新聞を経て全国紙に勤務。東日本大震災の発生当初から被災地で現場取材を続けている。「警察裏金問題」、原発事故を検証する企画「プロメテウスの罠」、「手抜き除染」報道でそれぞれ取材班で新聞協会賞を受賞した。著書「地図から消される街」(講談社現代新書)で貧困ジャーナリズム大賞、日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞など受賞。近著に「いないことにされる私たち」(朝日新聞出版)

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