Jリーグ《半年で43億円赤字》予算に秘めた深謀遠慮、特別大会「百年構想リーグ」で"攻めの投資"を推し進める真意

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3つ目は「JリーグオールスターDAZNカップ」の開催。2月6日から5月11日にかけて、J1の東西2グループ、J2・J3の4グループの合計6チーム分のベストイレブン投票を行って、6月13日にMUFGスタジアムで1試合30分ゲームを実施。1日限り・7試合のトーナメント戦で優勝チームを決めるという大胆な試みだ。

オールスターゲームの開催は17年ぶりで、1日で7試合を実施する構成はかなり斬新。6月14日(日本時間15日5時)にFIFAワールドカップ2026(W杯)の日本代表の初戦・オランダ戦が行われるため、サッカーファンの関心が分散してしまうおそれもあるが、青影執行役員は「日本代表がW杯で活躍して、そのまま次の26/27シーズンにつながっていくと、日本サッカー界としてすばらしい流れになる」と期待を抱く。

もう1つ、投資として大きなウェートを占めるのが百年構想リーグの特別助成金だ。J1の場合は、優勝が1億5000万円、2位が6000万円、3位が3000万円。これに加えて1試合当たりで、90分勝利に600万円、PK戦勝利に400万円、PK戦負けに200万円を支給することとなっており、かなりの高額なのだ。

J2・J3のほうは、優勝が1500万円、2位が750万円、3位が250万円だが、1試合当たりだと90分勝利が150万円、PK戦勝利が100万円、PK戦負けが50万円。J3の25年度の優勝賞金が500万円だったから、J3クラブにしてみれば、地域リーグラウンドで4勝すれば前年の優勝賞金を上回る水準に達することになる。

青影宜典
Jリーグのの財務関係を統括する青影宜典執行役員(写真:筆者撮影)

「勝ち点と最終順位に基づいて支給する『クラブ経営傾斜型助成金』を新たに計上しました。それが合計18億円。さらに、シーズン移行に関わるクラブの設備整備助成金も3億8000万円計上しました。こちらは一過性ではなく、総額50億円の中でクラブとコミュニケーションを取りながら来季以降も対応する形になります。いずれにしても、この半年間で攻めの投資を行っていくのは確かです」(青影執行役員)

積極投資でJリーグの“価値”は高まるか

一方で、今回の大規模な投資の裏側には、公益社団法人であるJリーグの“宿命”も存在する。公益社団法人は法律によって、5年間で公益目的事業の収入と支出のバランスを取ることが求められる。この「中期的収支均衡」というルールにのっとると、過去の剰余金をサッカーを通じて広く公益のために活用する必要があった。

とはいえ、積極的な支出の主眼は、シーズン移行を経て、Jリーグがより規模を拡大し、世界トップレベルに肩を並べられるような飛躍を続けることにある。この先、Jリーグの収入規模を拡大するためには、リーグの価値をさらに高める中での国内での規模拡大のほか、外資を含めた新たなスポンサー獲得も視野に入る。シーズン移行によって欧州トップリーグと同じ夏開幕のサイクルで動くようになれば、その可能性も広がる。

「集客数の伸びを考えても“投資対象としてのJリーグ”の価値は上がっていると考えていますし、数字を伸ばせる可能性はまだまだあるとみています」(青影執行役員)

いずれにしても、26年がJリーグにとって極めて重要な節目の年になることだけは紛れもない事実。43億円の大赤字に込めたJリーグの「思い」が試されることになる。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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