世のため、人のためにならない会社は消える。それが経営の本質です--森正文・一休社長(第6回・最終回)

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ファンドマネジャーやアナリストは、「おたくもゲームのようなネット株特有のダイナミックな動きはないんですか」とよく突っ込んでくるんですが(笑)、そんな彼らも、「ゲームが世の中に役立つのかなと首をかしげるんですよ」と昔から言っていました。結局、投資家も本音ではそういう目で見ているんですよね。

--「一休」というラグジュアリーブランドを築かれましたが、商品の拡大はお考えではないのでしょうか。

大企業にするつもりはありませんが上場企業なので成長しなければいけません。ホテルと組んでワインが売れるかなとか、30~50歳代の人が喜びそうなものはつねに考えていますよ。ただ、何でもかんでも高級なら売れるというわけではありません。

当社の会員は男女比が半々で、平均年齢が男性45歳、女性41歳。当初は彼らに向けてフェラーリやポルシェなんかを売れないかなと思っていたんですが、高級車を買う人にはすでに特定の営業マンがぴったりくっついているんですよね。

また、当社の会員は、既婚未婚問わず、たまに高級ホテルに泊まりたいと考えているまじめに働くサラリーマンが多いんだと思います。

ネットとの親和性も重要です。株価や天気予報、占いなど即時性があってコロコロ変わるものがネットと相性が合う。一休がうまくいっているのは、ホテルやレストランの料金がコロコロと動き出したからです。

僕はアパレルのことは詳しくありませんが、スタートトゥデイのゾゾタウンが成功しているのも、洋服が変化を始めたからではないでしょうか。今まで洋服は、大半の人にとって半年か季節ごとに買い足すだけでよかったもの、つまりあまり動きのないものだった。でも、ユニクロなどが出てきて毎週代わる代わる目玉商品がPRされるようになりました。
 
 さらにもともとあったカタログ通販とネットが融合したことで、洋服はコロコロと変化するものになったと思うんです。そういった流れに特に抵抗感のない層がスマホを駆使する若者です。特定のブランドのポイントをためるよりもいろいろなところで使えるネットポイントのほうが魅力的ですから、今の若者は店頭で試着だけして商品はネットで買う。

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