5年後にはもう自分は一休にいないかもしれない--森正文・一休社長(第4回)

5年後にはもう自分は一休にいないかもしれない--森正文・一休社長(第4回)

--東京のご出身ですが、どんなご家庭で育ったのですか。

戦後、祖父は朝鮮半島から引き揚げてきました。父が中学生の頃だったといいます。無一文で戻ってきて、祖母は自分の息子に授けられるのは教育だと思ったみたいです。父もそれに応えて東京大学に入り、高度経済成長の中、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)で人事や大蔵省の担当をしました。典型的な出世コースをたどったようです。

母は伊豆のほうで育ったんですが、聖心女子学院に進学したお嬢様。皇后陛下と隣の席だったらしいですよ。ちなみに、僕も美智子様が皇太子妃だった頃にお会いしたことがあります。
 
 父が亡くなったときにお悔やみのお花をいただいたので、母と妹と3人で御礼に東宮御所に行ったときのことです。メロンを出していただいたんですが、緊張していたら「一緒に食べましょう」と言ってくださった。うちの母とは違うと思いましたね(笑)。こんなに優しく気品のある人が奥さんだったら死ぬ気で働く、と思いました。

言葉は適切ではないかもしれませんが、要はエリートサラリーマンとお嬢様の下で生まれ育ったんです。ところが僕は小学校の頃からピアノや絵画、剣道などいろいろやらせてもらったけど、どれも身に付きませんでした。
 
 高校生の頃になると「東大を受けろ」と父から言われていましたが、無理だと思っていましたし、実際一浪して上智大学に入りました。しかも親の期待に沿えないうちに、父は大学生の頃に亡くなってしまった。

日生に入ってからも、バランスシートなどの表を作っても数字が合ったためしがない(笑)。さらに親の期待を裏切って起業したわけですが、起業してから「しまった」と思いましたね。

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