5年後にはもう自分は一休にいないかもしれない--森正文・一休社長(第4回)


 
 たとえば、京セラ・第二電電(現KDDI)の稲盛和夫さんやソニーの井深大さんのような技術屋は別にして、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊さんやセコムの飯田亮さんなど文化系の起業家は、皆さんご実家が商売をやっています。僕は銀行員の息子です。一族を見渡しても金融関係ばかりで堅い家系ですから、商人に向いていないとつくづく思いました。

でも、高級ホテルを順調に営業できたのは、もしかしたら父のおかげもあったのかもしれません。本当に偶然で、営業し始めてからわかったことなんですが、日本開発銀行のOBがホテルに出向していることが結構あったんですね。いちばん最初にホテルが飛び込みで会ってくれたのは事実ですが、そのあと父のことを知っている人たちからかわいがってもらったのも事実です。
 
 僕は祖父母から初孫としてかわいがられて育ったので、大人に愛されるのは得意でお年寄りには強いんです(笑)。ホテルを実際に動かしているのは監査役などを務めるOBではなくたたき上げのプロたちですが、高級ホテルをスピーディに口説き落とせたのはOBである彼らが見えないところで協力してくれていたからかもしれません。そうだとすれば、一休が軌道に乗ったのは父のおかげといえます。

--ご家族でよく高級ホテルを利用されていたのですか。

普通のサラリーマン家庭ですので、夏休みなどは父の会社の保養所に泊っていました。でも、夕飯くらいは外でということで、箱根なら富士屋ホテルに食べに行ったりしていたんです。もともとホテルが好きだったというわけではありませんが、小さい頃から何となくホテルを知っていたというのはありますね。

--今現在、8歳の息子さんがいらっしゃるそうですね。後継者としてお考えなのでしょうか。

会社を息子に継がせる気はありません。2代目というのは大体うまくいかないというのは歴史が証明してるし、10年後に引き継ぐだけの会社になっているかどうかもわかりませんから。そもそも5年後にはもう自分はいないかもしれない(笑)。

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