次に反対派の太田営業部長。表立って反対ができないような立場になっていただくのがよいでしょう。具体的には新体制を推進する重要ポジション、たとえば推進リーダーとして社長から任命してもらうようにします。
多くの人は反対派が現れてから、真っ向勝負しがちですが、それはお互いに時間も労力ももったいないことです。いちばんよいのは反対に回る前に、反対できないような布陣をとることです。この反対派を重要なポジションに引っ張り出すという“裏技”は少々勇気がいりますが、やってみると意外なほどうまく行きますし、感情的なしこりが残りにくいというメリットがあります。
それから中田技術部長。影響力はそれほどないものの、煩わしい管理業務から解放されて専門分野に専念できると喜んでいますので、新制度の広告塔としてよさをアピールしていただくとよいでしょう。常田財務部長はこまめに情報提供をする程度でよいでしょう。
反対派に回る可能性がある中立派には?
ほかに気をつけたほうがよい人物としては、有田人事部長です。これまで自分の管理下にあった人材開発の権限やポジションがどうなるかをとても気にしており、反対派に回る可能性もあります。このような場合には、新研修部長を有田人事部長に選んでもらい、一緒に研修計画を立ててもらうということで賛成派に引き入れるとよいでしょう。自分の知らないところで、新研修部長が勝手に立てた計画に反対するという衝突を防ぐのです。
人は誰でも蚊帳の外に置かれると、疎外感や反発を覚えます。プロジェクトが成功しなければ、自分の評価も悪くなると認識してもらい、「利害を自分と同じにする」のです。
もし、参加が難しい場合には、アドバイザーのような役割になってもらうのでも構わないでしょう。その参加依頼は、自分からではなく、相手が尊敬している方から「君の力が必要だからよろしく頼む」と言ってもらうのが利きます。
利害関係者対応の鉄則は「すべて自分で対応しない」ことです。大きな会議でトップからフォーマルに伝えられたことに従う人もいれば、ひざ詰めで個人的にお願いされることで、「XXさんがそこまで言うなら仕方ない」と自己重要感を満たされて動く人もいます。誰から、どんな場で、どんなふうに伝えるのがいちばん効果的なのかを考えましょう。
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