だからプルデンシャル生命で「100人超・31億円」大規模詐取が起きた…「見込み客探しを営業マンに丸投げ」する個人依存モデルの限界

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初期在庫が尽きた後、募集人が生き残るための生命線が紹介です。外資系生保、特にプルデンシャルでは、この紹介獲得を徹底的にたたき込まれます。研修では「紹介をもらって初めて、一連の契約プロセスは完了する」と教えられます。紹介をもらえないのは「顧客を満足させていない証拠」であると、強烈に刷り込まれるのです。

契約手続きの直後に、「あなたと同じように大切な方を3人教えてください」と迫る。これを「顧客のために行うべき善行」と信じ込ませる教育が、外資系生保の営業モデルの根幹です。

紹介を絶やさないための人脈作りも、すべて募集人の肩にかかっています。政治家の後援会、ロータリークラブやライオンズクラブへの入会、大学の校友会や異業種交流会への参加、あるいは税理士などの士業とのアライアンス。これらもすべて会社が用意するものではなく、募集人が自らの足と自腹で食い込み、信頼を勝ち取って人脈へと変えていく属人的な活動です。

MDRT会員数1641名と、報酬構造の関係

MDRT(Million Dollar Round Table/世界1%のプロとされる称号)という、80以上の国と地域の700社近い企業で活躍する、世界トップクラスの生命保険および金融サービスの専門家たちが登録する団体があります。2025年度のMDRT日本会の会員数は全体で9219名であり、そのうち、プルデンシャル生命分会は1641名を数えます。

MDRTに入会するには、年間の手数料収入が基準額以上であることなどが求められます。プルデンシャル生命は24年まで27年連続で会員数日本一を維持してきました(25年度はソニー生命が首位)。なぜ、これほどまでにMDRT会員が突出して多いのでしょうか。

最大の要因は、同社の報酬制度が「他社よりも初年度の手数料が厚く、かつその支払期間が短い設計」になっているからです。ヘッドハンティングされるような実力者が、前職のベースマーケットを保険契約に換金すれば、この手数料体系ゆえに比較的容易にMDRTの入会基準に届きます。しかし、支払期間が短いということは、一度取った契約からの報酬が数年で急激に減ることを意味します。

つまり、常に新しい紹介を獲得し続けなければ生活を維持できないのです。昨日のトップセールスが、今日新規が取れなければ無収入に近い状態へ突き落とされる。この終わりなきラットレースと成功者のプライドの葛藤が、今回の事件のような別商品(詐欺)での現金化という禁じ手を誘発した構造的背景ではないでしょうか。

プルデンシャル生命保険
(写真:© 2026 Bloomberg Finance LP)
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