マンション流通革命の前に立つ業界団体の壁 不動産価格推定サービスは波を起こすか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
中古マンションを手放したいと思っても、いったいいくらで売れるのか、簡単にはわかりません(写真:YNS / PIXTA)

ヤフーとソニー不動産がタッグを組み、今週からインターネット上に開設した中古マンション売買サイト「おうちダイレクト」の存在が、不動産業界に波紋を投げかけている。

おうちダイレクトは、不動産仲介業者に査定を依頼しなくても、中古マンションなどの不動産物件の市場価格が調べられ、買い主に直接売れるサービス。膨大な量の不動産関連情報を基に不動産の成約価格を推定する「不動産価格推定エンジン」が算出した査定価格を参考に、売り主が自由に売り出し価格を設定し、ネット上で売り出せる仕組みだ。仲介手数料も基本サービスの範囲内では無料に設定した。

買い主側も中古マンションの価格を判断できる

これまで中古マンションの売り出し価格が適正かどうかを、買い主側が判断するのはほぼ不可能だった。売り主と買い主の双方を仲介する両手取引が中心で、仲介業者にとっても成約価格が高い方が仲介手数料は増えるからだ。不動産価格推定サービスの登場で、買い主側は価格交渉のための材料を得ることが可能になったわけで、おうちダイレクトのようなサービスが普及していくと、まさに「マンション流通革命」が進むことになる。

これに監視を強めているのが、公益社団法人の「首都圏不動産公正取引協議会」(略称・不動産公取協)。不動産広告の不適切な表示を自主規制する業界団体だ。不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づいて不動産業界で自主的に策定して認定を受けた「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産広告のルール)を運用するために1963年に設立され、首都圏のほかに全国9つの協議会が設置されている。

宅地建物取引業法には、宅建業者が契約を成立させるために事実と違ったことを伝えてはならないという「誇大広告等の禁止」が明記されており、違反した場合は業務停止処分などの厳しい罰則がある。2つの法律で消費者保護の対応を行ってきた。

その不動産公取協が、おうちダイレクトへの監視を強めるのには前段がある。

次ページ不動産公取協がリブセンスに行った指導とは?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事