ただ、こういう議論の前に、少なくとも利用する人が知っておかなければならないことがあると思っています。それは、投資信託の分配金が、銀行預金の利息とはまったく性質の異なるものだということです。
銀行預金とは“銀行におかねを貸している”ということ
銀行預金というのは、名前こそ「預金」=“おかねを預ける”と表現されていますが、これは紛れもなく貸金です。預金者と言われる人は、銀行に対して一定期間“おかねを貸す”のです。
銀行は、その期限が来れば約束した利息と元金を返済するわけで、これが「満期」です。預金者からおかねを借りるということは、会計上、そのおかねはいったん銀行のものになりますから、それをどのように使おうが銀行の自由です。
融資に使おうが、国債を購入しようが、それらはあくまでも銀行自身がリスクを取って行うことであり、結果のいかんを問わず、貸してもらった先=預金者には決まった利息と元金を返しさえすればいいのです。少し難しく言えば、バランスシート上は、預金者から借りたおかねは「負債」に計上され、融資や証券への投資などは「資産」に計上されるということになります。
つまり、「預金」とは言うものの、別におかねを預かっているわけではなく、借りていったん自分のおかねにし、それを元手に商売して儲けていると表現したほうが正しいでしょう。
ただし、銀行が融資や投資をするにあたっては、リスクが発生します。融資であれば貸し倒れ、投資であれば価格変動や投資先の破綻といった事態です。でも、これは銀行のリスクであって、預金者には何の関係もありません。
預金者は、ただ決められた利息と元金は必ず返してもらうという約束の下に、おかねを銀行に預けている(貸している)だけだからです。逆に銀行がどれだけ儲けたとしても、約束して預金者に支払う利息以外は、すべて銀行の儲けということになります。
一方、投資信託のほうはと言えば、こちらは正真正銘、おかねを預けているのです。もう少し正確に言えば、運用会社に自分のおかねを預けて“運用”を委託しているのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら