テロに勝つカギは「人・資金・武器」の遮断だ

パリ同時攻撃に国際社会はどう対応すべきか

国際的な資金の流れが規制された例としては、北朝鮮と深い関係にあったマカオの銀行が取引を禁止されたこと、イランに対する制裁下でイラン人の米国内資産が凍結されたこと、さらに最近ではクリミア併合のためロシアに対して課された制裁措置としてロシア人の資産管理について規制がかけられたなどの例があり、これらはいずれもかなり有効な措置であったことが判明している。

第4のポイントが、ISへの武器の流入を制限することである。現在、ISは武器を豊富に保有している。イラク戦争以来の混乱で武器が散逸しているためその入手は比較的容易になっており、しかもISはイラクの主要都市であるモスルを制圧した際、政府の武器庫から大量の米国製武器を入手したからである。

武器の流入経路を絶てるか

しかし、中長期的には武器のISへの流入を止めることは効果的な対策となる。

武器は合法的、非合法的に取引されている。今回のテロ事件においてベルギーで襲撃の準備が行われたことが注目されているが、同国にはかねてから東ヨーロッパ、中東、アフリカをつなぐ国際的非合法取引の拠点があることは知られていた。

国連では、以前から紛争と武器の因果関係に注意が払われ、非合法の武器取引を規制するための仕組み作りが行われ、製造元の表示の義務化などかなりの規制強化が実現している。日本は小型武器の規制の面で積極的にルール作りに貢献してきた実績があり、この分野では経験も知見もある。

2013年に国連で成立した「武器貿易条約」では、7種類の大型武器(戦車・装甲戦闘車両・大口径火砲・軍用艦艇・攻撃用ヘリコプター・戦闘用航空機・ミサイルおよびミサイル発射装置)と小型兵器について、輸出、 輸入、 仲介取引、通過・積替えなどのルールが定められた。今後のテロ対策においては、この条約が有効であるかという検討もあらためて必要になるだろう。

来年の伊勢志摩サミットは今回の事件後初のG7首脳会議となり、国際的な取り組みがそれまでに進展していくことを期待したいが、いずれにしてもテロ対策が主要議題の一つとなることは間違いない。日本はサミットの議長国として、ISへの人、カネ、武器の流入を防止する観点から条約など既存の国際的仕組みが有効であるかの検討、さらにはあらたなシステムづくりの面で積極的な役割を果たすことが期待される。

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