山本太郎氏が公表「多発性骨髄腫」とはどんな病か――SNSで語った"一歩手前の状態"とは?最新の治療方針・治療法について【医師が解説】

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二重特異性抗体とは、一方の手で骨髄腫細胞を、もう一方の手で自身のT細胞という強力な免疫細胞をつかみ、お互いをくっつけるという性質を持つ薬です。

本来、がん細胞は免疫の目を盗んで逃げ回りますが、この薬はがん細胞と免疫細胞をつかんで、強制的に“お見合い”させることで、がん細胞を殺傷させるのです。

治療方法は点滴、もしくは皮下注射で、最初のうちは毎週、そして徐々に間隔をあけていき、半年後以降は月に1回の治療を続けます。

この薬は古典的な抗がん薬のように、脱毛や吐き気、白血球が減少するような副作用はありません。わずかにウイルスや細菌感染のリスクを上げますが、非常に安全性が高い治療といえます。

信じられないほど延びた予後

多発性骨髄腫の予後は、この10年、20年で信じられないほどの改善を見せました。

かつて生存期間の平均が3〜5年程度とされ、早期に治療を開始しても長生きにはつながらないと考えられていた時代がありました。ところが、現在は10年、あるいはそれ以上にわたって、病気をコントロールしながら仕事や趣味を続ける患者さんが増えています。

高血圧や糖尿病のように、適切な薬を使い続けることで「がんと共生し、天寿を全うする」ことは、もはや現実的な目標となったのです。専門医の間では、一部の患者さんにおいて「治癒(キュア)」という言葉さえ、タブーではなくなりつつあります。

治療のためには入院が必要となるものの、状態が落ち着けば通院での治療が可能です。仕事はいったん、疾病休暇の必要はありますが、落ち着けば仕事に戻ることも可能です。治療の継続にはある程度の収入は必要です。筆者は患者さんに、辞めることなく継続するようにと、説明しています。

2026年の日本には、治療の経済的負担を軽減するための保険制度、治療による休職期間の支えとなる社会保障制度が揃っています。

まずは、早期発見・早期治療が大事になります。健康診断で高タンパク血症や、タンパク尿、貧血を指摘されたら、放置せず医療機関を受診してください。

背中や腰の痛みがとれないという方や、腎機能の低下を指摘されている方も、骨髄腫を疑ってみる必要があります。後回しにせず、血液内科の門を叩いてください。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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