山本太郎氏が公表「多発性骨髄腫」とはどんな病か――SNSで語った"一歩手前の状態"とは?最新の治療方針・治療法について【医師が解説】
そこで、世界的にはこの「高リスクのくすぶり型」と診断された段階から、治療を開始するようになっています。2025年11月には、アメリカFDA(食品医薬品局)が高リスクSMMに対して、抗体薬(後述)の使用を承認しました。
しかし、日本ではまだこの段階では治療を始められません。国際的な治療の流れと、日本のガイドラインや保険適用には時間的なズレがあるからです。これは、患者さんにたいへんな不利益をもたらしているのではないか、と筆者は考えています。
多発性骨髄腫の診断
多発性骨髄腫は、血液中にMタンパクの増加が認められて、かつ高カルシウム血症(HypercalcemiaのなかのCalcium)、腎不全(Renal insufficiency)、貧血(Anemia)、骨病変(Bone lesions)の4つの症状――頭文字をとった「CRAB(クラブ)」が揃ったときに、診断されます。
わが国では、そこから治療が始まっていたわけで、これはつまり、今までは“症状が現れるまで治療ができなかった”ということを指します。
しかし、最新の日本血液学会の治療ガイドラインでは、このCRABにSLiM(スリム)という3つの指標を加えた「SLiM-CRAB」が採用され、より早期から診断できるようになりました。SLiM-CRABの基準に該当すると、「現時点では症状がなくても、2年以内に8割以上の確率でCRAB症状が出る」ことが明らかになったからです。
では、多発性骨髄腫ではどんな治療が行われるでしょうか。
多発性骨髄腫は血液のがんですから、基本的に治療は全身に存在するがん細胞を叩く薬物療法が中心となります。現在、多発性骨髄腫にはいくつかの治療法があり、患者さんの年齢や体力に応じて、患者さんと相談しながら選択していくのが一般的です。
例えば、若い方(一般には65歳未満)であれば、まず4つの薬剤を組み合わせた「超大量化学療法」でがん細胞を徹底的に排除します。そのあと事前に保管しておいた自分の造血幹細胞を体内に戻す「自家造血幹細胞移植」を行い、造血機能を回復させます
65歳以上の年配の人や体力に不安がある方は、強度の低い化学療法を、効果がある限り続けます。
これらの治療を行っても再発したり、初期の薬がうまく効いてくれなかったりする難治性の多発性骨髄腫に対して、新しい抗体薬を用いて治療が行われるようになりました。
少々専門的になりますが、「二重特異性抗体」という強力な治療薬が登場したことで、生存期間を大幅に延ばすというデータが積み上がっているのです。


















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