山本太郎氏が公表「多発性骨髄腫」とはどんな病か――SNSで語った"一歩手前の状態"とは?最新の治療方針・治療法について【医師が解説】
骨髄腫細胞は、正常な抗体ではなく、役に立たない異常なタンパク質(Mタンパク)を大量に作ります。このMタンパクは血液をドロドロにさせたり、腎臓のフィルターを詰まらせて腎障害を起こしたりします。また、骨を壊す細胞を活性化させてしまうため、全身の骨がもろくなり、骨折をしやすくなります。
このほか、骨髄腫細胞が骨髄で増えることで、正常な血液細胞が作られにくくなるため、貧血や出血のほか、さまざまなウイルスや細菌に感染しやすくなります。
「一歩手前の状態」とは?
山本さんは動画サイトで「一歩手前の状態」と述べておられましたが、これはどういう意味なのか簡単に説明します。なお、山本さんの病状について言及しているのではないことを、ご承知ください。
多発性骨髄腫は、「MGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)」と呼ばれる血液の変化から始まります。
MGUSは70歳以上の日本人の約2〜3%に見つかるともいわれ、多くは健康診断や人間ドックなどの血液検査で、「総タンパクが高い」ことをきっかけに偶然、発見されます。
ただし、この段階では多発性骨髄腫という病気を発症するかどうかまではわかりません。なぜなら、MGUSは別の理由でも生じるからです。
筆者が見ている患者さんのなかにも、MGUSの方が何人かいます。この方たちには3カ月とか、半年おきといったタイミングで受診してもらい、血液検査の結果をフォローアップしていますが、今のところ多発性骨髄腫まで進行した方はいません。またこの間、とくに何か治療をしているわけでもなく、普通に過ごしてもらっています。
MGUSから多発性骨髄腫へ進行する確率は年間1%程度で、多くの人はがんになることなく、一生を終えます。
そしてMGUSから一歩進んで、がん細胞の割合が増えてきた(10%を超える)状態を「くすぶり型骨髄腫(SMM)」といいます。
治療については後述しますが、これまでは、SMMの状態でも治療をしないで経過観察をしていくのが、世界共通のルールでした。その背景には、ゆっくり進行する病気であるということだけでなく、有効な薬がなかったという理由もあります。
ところが、近年の大規模な臨床試験により、SMMの中でも特にリスクが高いグループ(高リスクSMM)は、放置すると2年以内に半数以上の人が多発性骨髄腫を発症することがわかってきました。


















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