伊藤園の決算日は4月、アパレルの決算日は2月なのはなぜ?決算日を深掘りすると見えてくる、業界ごとのユニークな事情
小売業の会計面でのひとつの特徴は、決算時に在庫の棚卸し(在庫の数量などを調べる作業)をすることです。
倉庫に積まれた商品の在庫のことを、会計上は「棚卸資産」と呼び、とくに貸借対照表でこれが資産として計上されます。
そして決算前の会社は、この棚卸資産をなるべく減らしておきたいのです。在庫が少なければ棚卸しも簡単に済むわけです。
では、1年のうちでいちばん在庫が少なくなるのはいつか。アパレル業界のことを考えれば、察しはつくかもしれません。寒さがピークを迎える2月です。
冬物のアイテムは、2月中に売り切らなければ、その後はもう売り物になりません。次の秋冬シーズンまで待っても、流行遅れになっている可能性があります。
だからアパレル系の小売店では、2月に「決算セール」と称して商品の値段を下げ、なるべく在庫を残さずに売り切ろうとするのです。
どの季節でも売れる定番商品や次に売る春物などは棚卸資産として残し、もう売れそうにない不良在庫は処分します。
アパレル業界だけでなく、昔から「二八」という言葉もあるくらいで、2月と8月に売上が落ちる業種は少なくありません。
そのため決算日を8月にする会社もありますが、2月が208社あるのに対して、8月は86社。
おそらく、冬物の方が値段が張るため決算セールの効果が大きいことと、真夏の暑いときに手間のかかる棚卸し作業をするのは大変なので、2月を選ぶ会社が多いのでしょう。
伊藤園の決算日はなぜ4月なのか
不良在庫を処分して、まだ確実に売れることが期待できる在庫を残して評価した状態を、会計の世界では「棚卸資産の硬度(hardness)が高い」といいます。
逆に、どの在庫が売れてどの在庫が売れ残るかわからないセール前の状態は、棚卸資産の硬度が低い。
棚卸資産の硬度が低い財務諸表は、そこに不良在庫が隠れているかもしれないので、その資産の本当の値打ちがわかりません。つまり、データとして不確実性が高くなります。
また、「硬度が高い」と認められるためには、確実性が高くリスクが低いデータであるだけでなく、算出過程が明確であることも必要です。
このような要件を満たした、棚卸資産の硬度が高い財務諸表のほうが確実性が高く、その会社のパフォーマンスを測定する上で信頼できるのです。
ですから小売業は、決算日をいつに設定するかがとても重要になります。
その点で面白いのは、4月決算の伊藤園です。なぜ4月かといえば、5月に茶摘みをするから。それ以降は新茶が出るので、4月には古い茶葉を使い切らなければいけません。だからそこで安く在庫を売り切る。それによって棚卸資産の硬度が高くなるのです。
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