中国におけるFDIが今でも重要か否かを判断するため、投資とFDIの比率を見てみよう。この際、次のことに注意する必要がある。
中国の統計に出てくる「投資」は通常、固定資本形成全体の値である。しかし、中国の場合には、公的な投資がかなりの比率を占めている。しかも、全体の投資の中での比率が変動している。固定資本形成に占める民間比率は、80年代には2~3%に過ぎなかった。それが、90年代後半から上昇し、04~07年には20%程度にまで上昇した。経済危機後は再び公的投資のウエイトが上昇し、08年から10年までは5%台である。
われわれの関心は民間による投資である(ここには、企業の設備投資だけでなく、住宅投資なども含まれている)。民間の固定資本形成は、07年に2820億ドルにまでなったが、経済危機で急減した。10年では1528億ドルとなっている。
中国の立場からも金融開放は望ましい
民間の固定資本形成とFDIの推移を示すと、図のとおりである。
すでに述べたように、90年代後半以降、FDIの増加に伴って民間固定資本形成も増加した。93~98年は、FDIが投資を上回った。03~05年頃には投資が伸びたため、FDIの比率は3割程度に下がった。しかし、経済危機後、FDIの比率は上昇した。09、10年は7割程度である。このように、民間設備投資に関しては、現在でもFDIがかなりのウエイトを占めている。
しかし、今後は国内の貯蓄や国際市場からの資金調達でファイナンスされるものなど、FDIによらない投資が増えるのではないだろうか。そうなれば、貯蓄過剰部門から投資過剰部門への資金供給を行う金融活動が必要になる。