フランスは原発テロの悪夢にうなされている 自爆覚悟のテロは、防ぐのが難しい

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例えば、まず射程が数キロある60~81ミリ迫撃砲をトラックに積んで移動し、陣地変換をしながらアウトレンジで射撃する。警備部隊はパニックに陥るだろう。対迫撃砲レーダー程度は装備している可能性はあるが、装備しても対抗手段がない。

その間にRPGやアサルトライフル、グレネードランチャー、あるいはSUVなどに機銃を搭載したテクニカルなどで武装突入部隊が自爆覚悟で突入すれば良い。指揮官は市販のドローンを使って指揮通信を行えばより効率的な指揮が可能である。

またドローンを使って塩素ガスなど化学物質を散布すれば防御側にダメージを与えて、攻撃部隊を支援することもできる。それに突撃部隊は自爆覚悟であるので生還のための緻密な作戦も必要ない。

1カ所の襲撃に必要な人数は少ない

2~3カ所の発電所を同時に襲うにしても各原発の襲撃隊は後方支援を含めても1個小隊、即ち30人程度あればなんとかなるだろう。2個部隊で約60名、3カ所でも100名程度で可能である。

よく知られているように、フランスは発電における原発依存率は約8割と非常に高い。これを攻撃されたら大きな被害をうけるフランスは農産物の輸出国である。ことにワインやチーズ、フォアグラなどの農産物加工品も高いブランド力を持っており、利益率も高い。

放射能によって土壌が汚染されれば、これらの輸出は止まるだろう。仮に汚染のレベルが問題ないほどの低レベルでも風評被害を受けて、輸出はままならなくなる。これは農業国フランスにとって死活問題だ。更に漁業も同様の損害を被るだろう。東日本大震災の例を見ればそれは明白だ。

それだけではない同様の問題はルイ・ヴィトンやエルメスなどの高級ブランドの革製品などにまで及ぶ可能性があり、フランスの輸出は大きく落ち込むだろう。

当然ながら放射性物質が撒き散らされればフランスだけではなく、ドイツ、イタリア、英国、スペイン、オランダなどEU主要国を含む欧州中心部が放射能に汚染される。欧州が受ける経済的、社会的な打撃はチェルノブイリや東日本大震災の福島の事故よりも遥かに深刻なダメージを受けるだろう。

原子炉に対する攻撃は成功しなくとも効果はある。原子力発電所が襲撃され、一定の被害を与えるだけでもテロリスト側には大きなメリットがある。原発がテロの対象になり、破壊されるおそれがあることをフランス国民及び欧州の市民に魅せつけるだけで、フランスや欧州の市民に大きな恐怖を与えることができる。

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