なぜ飼い犬が減り、飼い猫が増えているのか ペット界の新王者「猫」を取り巻く光と影<上>

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また、「米国では飼えなくなった場合に新たな飼い主を探すペット保険があるが、日本にはない。高齢化などで世話ができなくなると、基本的に捨てるしかない」と説明。こうしたケースを想定した契約にならない限り、日本でペット保険が根付くのは難しいと述べている。

この状況は、当然ながら関連業界には痛い。業界の横断的な組織「ペットとの共生推進協議会」が都内で15日開いたシンポジウムでも、危機感が話題の中心となった。

高齢者による飼育促進が犬の減少を止める?

パネルディスカッションで司会を務めた越村義雄ペットフード協会名誉会長は「日本の個人金融資産1700兆円のうち半分は70歳以上が保有している」と指摘。高齢者が犬を中心とするペットを飼い続けられる体制作りに向け、「業界として、色々な提案を考えないといけない」と力説した。

シンポジウムには太田教授も参加。犬の散歩が高齢者の心身に好影響を与えるとの実験結果を示した。ペット飼育によってドイツでは7547億円、オーストラリアでは3088億円の年間医療費が抑制されたとの報告も紹介した。スイスでも、犬と猫の飼育には明らかに医療費を削減する効果があったとの調査結果が得られたという。

分母となる各国の医療費の額は不明だが、太田教授がこの報告をまとめた研究者たちに直接尋ねたところ、「だいたい20%くらい」が抑制されたとの答えが返ってきたとのことだった。

1995年に国内初のペット保険を発売した企業、日本ペットオーナーズクラブの創業社長の野川亮輔氏も出席。「英国ではベット保険の普及率が30%近いが、日本では4.7%。もっと普及させなければ」と強調。高齢の飼い主が生前、信頼できる医療機関などに犬や猫を預けて終生の世話を託せる「ペットあんしんケア」制度を導入したと説明した。

ただ、制度の詳細を見ると最も安い小型犬・猫で、基本料350万円のほかに年間65.7万円の預かり料が必要。価格設定が強気過ぎる気がして野川氏を直撃したところ、飼い主が加入する生命保険の活用を想定しているとのことだった。今年4月に募集を開始したが、現時点で預かり契約の実績はないという。

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