不調の8割は「血の巡り」、手足がヒヤッと冷たい人は要注意。なぜか"クヨクヨ""イライラ"するのも脳の血流不足のせい?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

つまり、血流のトラブルがメンタルの不調の原因となるのです。身体の血の巡りと心の健康は、密接に関連しているというわけです。

脳の部位によって、不調の種類が変わる

脳は、前頭葉、扁桃体(へんとうたい)、視床下部など、さまざまなパーツに分かれ、それぞれが異なる重要な役割を担っています。そして精神的な不調の種類は、どの部位の血流が悪くなったかによって変わります。

では、脳のどの部位がどんな精神活動に関係しているでしょうか。

まず前頭葉から見てみましょう。ちょうど額の裏側にある前頭葉は、「自分らしさ」を作り出す司令部です。その人の性格や判断力、思考力、感情表現など、私たちが「その人らしい」と感じる要素のほとんどが、この前頭葉から生まれます。

ここへの血流が滞ると、うつ状態に陥ったり、理性的な判断ができなくなったりすることがあります。

次に扁桃体は感情の門番のような存在で、特に不安や恐怖を感じる中枢です。両耳の少し上にあるこめかみのあたりに位置し、アーモンドのような形をしています。

この部分の血流が滞ると、門番が暴走を始めます。些細なことが怖くなったり、理由もない不安に襲われたり……。「なぜ、こんなに不安なんだろう」と自問自答を繰り返している人は、扁桃体が血流不足で悲鳴を上げているのかもしれません。

視床下部は脳のほぼ中央、両目の奥付近にあり、自律神経系の指揮官です。本来なら、この視床下部が、リラックスモード(副交感神経系優位)と戦闘モード(交感神経系優位)を巧みに切り替えて、私たちの体を最適な状態に保ってくれます。

しかし血流が滞ると、この切り替え機能が誤作動を起こしてしまいます。常に戦闘モードがオンになり、イライラが止まらない、興奮が収まらないなど、まるでアクセルを踏み続けた車のような状態になってしまうのです。常に緊張していて気が休まるヒマがないという人は、視床下部が不具合を起こしているかもと考えてみましょう。

『漢方のエキスパートが教える 人生が変わる漢方のはなし』
『漢方のエキスパートが教える 人生が変わる漢方のはなし』(山と渓谷社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

それぞれの場合におすすめの漢方薬はありますが、もし今この瞬間にメンタルの不調を感じていて、すぐにでもなんとかしたいのであれば、とっておきの「応急処置」があります。

まずは、その場で深呼吸をしてみましょう。

ゆっくり、深く、息を吸い込んで、フーッと静かに吐き出してみてください。

これを、数回続けます。

……どうでしょうか。少しは気持ちがおだやかになってきませんか? 深呼吸で体をゆるめ、酸素を送り込めば、血の巡りも自然と良くなります。

血流不足で酸素欠乏状態の脳に、新鮮な酸素を届けることで、疲弊していた脳という司令塔を楽にしてあげられるのです。これはあくまでも応急処置ですが、意外なほど効果があります。ぜひ、ふだんの習慣として取り入れてみてください。

痛みや冷えなどの症状には、大きな病気のリスクが潜んでいることもあります。症状が重い場合には、まず医師に相談して、必要に応じて治療を受けることをおすすめします。持病がある人や妊娠中の人も、かかりつけの医師に事前に相談していただくと安心です。
大澤 稔 医師

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおさわ みのる / Minoru Osawa

国際医療福祉大学病院産婦人科、東北大学病院漢方内科/産科婦人科の医師。1969年、群馬県生まれ。1994年、新潟大学医学部卒業後、2001年から前橋赤十字病院産婦人科副部長、2016年からは東北大学病院漢方内科/産科婦人科にて研究・医療者向けの漢方教育に携わる。2025年、国際医療福祉大学病院産婦人科部長、国際医療福祉大学産婦人科学教授に就任。専門は閉経後骨粗鬆症の治療・管理、中高年更年期医学、漢方東洋医学。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医。日本東洋医学会専門医。サイエンス漢方処方研究会理事。臨床医としての経験に加え、自身の不調を漢方によって何度も助けられた体験から漢方に目覚め、エキスパートに。医師や薬剤師など医療者に向けた講演も多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事