なぜ最近はドラマや映画発のヒット曲が少ない? 「おしん」「もしもピアノが弾けたなら」の作曲家・坂田晃一さん語る《音楽に主張がなくなったワケ》

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もう1つ、大きく変化した点があります。

それは、「音楽の役割」。最近は、テレビや映画だけでなく、インターネット配信や YouTube、TikTokなど、エンターテインメントのチャネルが多様化してきています。

多くの人が同時に同じコンテンツを楽しむのではなく、好きなコンテンツを好きなタイミングで楽しめることになり、大勢の人が同時に音楽を共有する場は少なくなってきています。

「音楽に“主張”がなくなってきたように感じています。映像作品は、CGやAIがあれば、人力では不可能な表現も叶います。以前は登場人物の心情や空間の広がりなどを、音楽を使って増幅する必要がありましたが、今は映像だけで多くのことを語れるようになりました。音楽がそこまで主張する必要がなくなってきたのでは、と思うのです」

特にそれは「ハリウッド作品で先行してきている」と坂田さんは話します。映像作品における音楽の役割は、よりBGM的になってきているのではないでしょうか。

そんな中でも近年、坂田さんが心を惹かれたのは、映画『シン・ゴジラ』(16年)で鷺巣詩郎さんが手がけた音楽。同作の楽曲は、ゴジラの“心情”をよく描き出している、と言います、映像作品の表現の幅を広げるという原点回帰のような役割を担っていました。

坂田晃一さん
東京藝大で学んで以来、封印してきたチェロ演奏を60代で再び始めた(写真:筆者撮影)

74歳で「新人楽団員」に

原点回帰といえば、坂田さんは70歳を超えて再挑戦したことがあります。

音楽の原点であるアマチュアでの演奏をもう一度楽しみたいと、都内有数のアマチュア・オーケストラである「新交響楽団」のオーディションを受験したのです。

藝大で専攻するも、作曲に専念するために封印していたチェロの演奏を、60代で再び始めた坂田さん。16年に74歳という当時史上最高齢での新入団員として楽団に迎え入れられました(実は筆者も元楽団員です)。

同時に、パフォーマティブアート「ワルツ〜カミーユ・クローデルに捧ぐ〜」(ワルツ・プロジェクト)の音楽監督として作曲・編曲、そしてチェロ演奏でも参加しています。

次ページ欠かさず走り込みをしている
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事