「子犬工場」撲滅には、欧州並みの徹底規制を ケージの広さなど、指標ができる方向だが…
「前回の動物愛護法改正の際も、これらの事項は環境省の検討委員会で議論されました。
しかし、規制の必要性は共通認識されたものの、具体的にどの程度の繁殖制限とするのか、ケージをどの程度の寸法とするのかまでは決められず、専門家委員会で別途検討することが確認されるにとどまりました。これが、2011年12月のことです。
それから4年近くが経ち、次の法改正の検討開始時期が近づいてくる中で、環境省としても、それまでに積み残した事項を進めておく必要があると考えて、今回の動きになったのだろうと想像します」
新しい規制で「悪質ブリーダー」を排除できるか?
今回、新たに設けられようとしている規制で、悪質ブリーダーは排除できるのか?
「仮に、繁殖制限やケージの広さに関する具体的な数値基準が定められれば、自治体行政も、業者の指導監督がしやすくなり、非常に有効な規制といえます。
また、ケージの広さを数値で規制することにより、展示や販売を行う業者は、今より施設の広さが必要となるでしょう。そうなれば、コストをかけられない業者が、割に合わないとして撤退する可能性もあります」
新しい規制を設けるにあたって、細川弁護士は「他国の事例も参考にしてほしい」と呼びかける。
「繁殖制限について、たとえば英国の法律では、1歳未満の犬は繁殖させてはならず、繁殖は一生に6回まで、最終の出産から1年以内の出産は禁止されています。
一方、日本のパピーミル(子犬工場)では、性成熟が始まる生後6カ月程度で繁殖を始め、毎年2、3回の繁殖を続け、老犬になっても産めるだけ産ませる、といわれています。
また、飼育ケージの規制について、たとえばドイツの法律では、犬の体長の2倍で、2メートル以上とされています。また、体高ごとに必要とされる床面積が決められています。たとえば体高50センチメートルの場合は、6平方メートルです。
今後、専門家による検討会の中で、こうした他国の事例も参考にしながら、できれば他国で導入された背景まで掘り下げつつ、基本的には動物福祉の観点から、繁殖頻度はどの程度とするのがふさわしいか、また、動物の種類ごとに飼育ケージの広さをどの程度確保すべきかを、しっかりと定めていただくことを期待します」
細川弁護士はこのように話していた。
事務所名:春名・田中法律事務所
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