とはいえ、万事がバラ色というわけではない。アンケートでは約54%の店舗が手数料などの運営コスト増加が課題だと回答。キャッシュレス化を進めるにあたり、手数料やコスト負担軽減の補助を行政に求める声が多く上がった。
経済産業省のキャッシュレス推進検討会においても、中小規模店でのキャッシュレス化が進まない要因として「手数料が高い」ことがネックとされている。店舗の業務効率化が、負担することになる手数料分と釣り合うのか。万博が可視化した数字が、今後の65%目標達成へのカギを握ることになりそうだ。
最後に注目するのが、いわゆる物価高対策とキャッシュレスの関係だ。
昨年、思わぬ批判を浴びたのが「おこめ券」問題。政府からの支援策として1人当たり3000円程度が配布されるはずだった。しかし、それよりもプレミアム付き商品券などの発行を選ぶ自治体が目立った。
さらに、その商品券を紙ではなく、自治体独自の電子マネーで発行するケースも増えてきている。東京都は生活応援事業として、その公式アプリで1万1000ポイントを付与する予定だ(マイナカードによる本人確認など条件あり)。
また、PayPayや楽天ペイなどは自治体と連携し、その地区内の店舗で決済に使った場合、ポイント還元率を高めに優遇するキャンペーンを定期的に行っている。つまり、今後行政からの給付金などを受け取るには、スマホによるコード決済アプリが必須になる未来が訪れるだろう。
teppayに透ける目論見
ここで話は2つ前に戻る。なぜ今、SuicaとPASMOが「teppay」に乗り出すのか、その理由にも関係してくるからだ。
teppayの公式サイトによると、同サービスでは特定の地域や店に限定して利用できる地域限定の残高(地域限定バリュー)で支払いができ、各自治体のプレミアム商品券、キャッシュレス還元事業などにも対応するとある。コード決済の仕組みを持っていれば、行政からの給付金の受け皿になることができる。
公共交通インフラを保有するJRや私鉄は企業としての信頼度は高く、業者として参加するハードルは低いだろう。利用頻度が増えて決済データが溜まっていけば、次のビジネス展開にもつなげていける。JR東日本には楽天銀行と組んだJRE BANKという銀行サービスがあり、teppayとの連携も構想に入っているだろう。
「ポイントや電子マネーでないと公的な給付金が受け取れない」という状況になれば、キャッシュレス嫌いの人も心は揺れる。キャッシュレスのほうが便利だとか、効率化だとかいう以前に、“生殺与奪の権”を握られてしまうことになる。新たな目標値までキャッシュレス決済比率を上げるカギを握るのは、もしかするとこの自治体マネーなのかもしれない。
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