「アベノミクスのおかげで」「首相の要請もあったので」「政府の成長戦略が出てくれば」というのは、すべて受け身の発想です。2016年は、受身の発想から前向き志向に転換しないといけません。前向き志向に転じるということは、自ら変わらなければいけないということです。成長戦略は政府ではなく、個々の会社が考えるものです。ビジネスチャンスを作り出していけば、設備投資も増えていきます。こうした動きが広がってくれば、景気は回復するでしょう。
アベノミクスがなくても成長できる
そんなにうまくいくのかと言われれば、たしかに簡単ではないでしょう。しかし、アベノミクスがなくても、実は日本経済は成長できるのです。
アベノミクスのおかげで日本経済は回復したと思っている人が多いと思いますが、実はそうではありません。2012年11月、世界経済が持ち直す中で景気は回復に転じており、そこにたまたまアベノミクスの登場が重なったのです。
今でも、前向きな動きはいろいろ出てきています。まず、前向きな動きを支える企業利益は好調です。円安による輸出企業の収入拡大、原油安による企業のコスト削減といった環境に恵まれたこともありますが、それだけではありません。たとえば以下のように、稼ぐ力をつけるさまざまな動きが出ています。
① 日本から輸出するだけではなく生産拠点をグローバルに展開して稼ぐ
② 特許などの知的財産を使ってライセンス料収入で稼ぐ
③ 外国人観光客をおもてなしして稼ぐ
企業は、おカネを稼いでも設備投資に回していないという批判があります。しかし、賢くおカネを使う力がついているので、稼ぐ力もついてきているはずです。
設備投資の金額はリーマンショック前の水準に戻っていませんが、企業立地の統計を見ると、立地件数はリーマンショック前の水準を超えています。規模は小さくても、日本経済の環境変化をよく考えて新たな投資機会を捉えていく動きが生まれているようです。リーマンショック前のような自動車関連の大型工場の立地は減っている一方で、サービス化の流れの中で非製造業の立地が増えています。
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