《ミャンマー軍事クーデター後の惨状》拉致、銃殺、胴体切開による拷問─非道すぎる軍を前に市民が貫いた「非暴力」も無力に…日本の対応は

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これまで国際ニュースになってきた画像や映像などの中には、一般市民のスマホからの投稿が相当数含まれていた。まず誰かがSNSに投稿したものが、無数の市民によって瞬く間に拡散される。ローカルメディアがその真偽を確認し、ニュースとして発信する。あるいは、写真や動画を撮った「市民記者」が日時や場所などの情報とともにメディアに送り、それをメディアがウェブサイトに載せる。その内容を海外のメディアが引用し、報道する。

つまりリアルな一次情報の多くは、市民が路上から、モバイルインターネットを使って発信してきたのだ。そうした映像は、事実を伝えると同時に、軍による弾圧を記録する監視カメラの役割を果たし、国際社会に発信されることでミャンマー市民を守る盾となっていた。

今後、ミャンマー関連のニュースはガクッと減るだろう。銃声の中、デモ隊が逃げながら撮った臨場感のある映像。警官隊と対峙する若者の、張り詰めた表情。そうした「絵になる」情報は、もう消えかけている。

だけど、映像が届かなくなっても忘れないでほしい。市民たちは自由を諦めず、必死で抵抗を続けている。もはや警官だけでなく、迷彩服の兵士が直接制圧し始めたヤンゴンで、今日も自宅の窓には、風に乗ってシュプレヒコールが届いている。

最後にダメ押しで、信じられないニュースをひとつ。3月19日、ロシアからミャンマー軍に兵器が空輸されるらしい。ミャンマーの市民を殺すための兵器だ。やりきれない。なぜ世界は、こんなことがまかり通る仕組みになっているんだろう。

「非暴力は無力」悲しすぎる現実

この1カ月半、ミャンマー市民は軍の横暴に耐えてきた。だが、非暴力での民主化運動は、限界を迎えつつある。デモに参加する人数は、一時に比べると激減した。当然だ。殺されたくなかったら、デモになど参加すべきじゃない。

一方で、抵抗運動を続ける若者たちは精鋭化し、軍の銃撃に対して、ロケット花火やスリングショットを打ち返したり、お手製の火炎瓶を投げ返したりする動きも出てきている。自ら軍に攻撃を仕掛けるわけではなく、あくまでデモの最前線で、命を守るための最低限の反撃だが、それでもこれは、ごく最近まで決して見ることのなかった姿だった。

非暴力を貫いてきた若者たちが、少しずつ武器を手にし始める。それは、どうしようもない変化だった。人々の平和的な抵抗運動を支持していた私も、もはや非暴力に固執することが正しいこととは思えなくなっていた。

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