「設計者は28人、前代未聞の団地」「中はどうなってるの?」 長野・元五輪選手村を転用《あまりに奇抜な団地「今井ニュータウン」》の"すごい室内"

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一般的な団地は、住棟間のスペースが駐車場になっていて、周辺に自転車置き場やゴミ置き場が点在している。

一方、今井ニュータウンは、敷地の隅に立体駐車場が配置され、敷地内の車の往来は制御されている。移動図書館の車や、福祉車両、宅配専用車の駐車場は決められていた。

駐輪場は土壁や漆喰仕上げのデザインで、周囲の風景に調和した造りだ。ごみ置き場も同様で、ごみが道沿いに置かれていない。さらには電信柱が見えないことにも気づいた。まちは年月を経ても美しいまま運用されている。

水路の右にある茶色の壁が駐輪場
水路の右にある茶色の壁が駐輪場(写真:筆者撮影)

住棟間には植栽が植えられ、竣工時の写真と見比べると木々は随分成長した。市営住宅の敷地では、枝払いや伐採をした木もあるという。

環境美化は、入居者が行っている

市営住宅で設備の不具合など現場で対応を行う、長野県住宅供給公社監理員の町田高さんのもとには、ムクドリの苦情が寄せられることも多い。最近は高層階にハヤブサの仲間の「チョウゲンボウ」が2羽よく来ているという。

公営住宅においては、草取りや落ち葉の掃除などの環境美化は、入居者が行うことになっている。筆者が訪れたときも、緑地や花壇の手入れをする人を見かけた。夕方、帰宅する小学生が水路を眺めたり葉っぱを拾ったり、緑道や広場など自然の中で遊ぶ姿もあった。

立体駐車場近くの花壇
立体駐車場近くの花壇には花が咲いていた(写真:筆者撮影)
ベンチ
ニュータウン内には至るところにベンチがある(写真:筆者撮影)

ニュータウンに立つ市営住宅も年月が経った。

「30年近く経ちますが、きれいな状態を保っていると思います。今後はメンテナンスにどれくらい費用がかけられるかが課題ではないでしょうか。幸いなことに、屋根が山型なので防水面は優位です」(小野寺さん)

一部住棟は、近年外壁改修工事が行われた。市では設備関連について耐用年数に応じて更新していくという。

オリンピック選手村という特殊な歴史を持つ今井ニュータウン。多くの人たちが尽力したまちのデザインは、いまも日常に息づいている。

【もっと読む】「あまりに個性的すぎる団地が完成」 長野五輪「元オリンピック選手村」30年後の現在…《今井ニュータウン》を訪ねて見た"驚く光景"
※参考文献
長野市編『今井ニュータウン建設記録』(鹿島出版会、1999年)
『SD』(鹿島出版会、1999年9月号)
『新建築』(新建築社、1998年2月号)
信濃毎日新聞社編『第18回オリンピック冬季競技大会公式報告書』第1巻・第2巻(長野オリンピック冬季競技大会組織委員会、1999年)
 
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鈴木 ゆう子 ライター

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すずき ゆうこ / Yuko Suzuki

総合雑誌編集部、住宅誌編集部などを経て、フリーランスとして活動。趣味実用、住宅、インタビューなどを手掛けている。「東洋経済オンラインアワード2024」クリエイティブ賞受賞。

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