手前から奥にかけて、床一面が空のペットボトルで完全に埋め尽くされている。コーラ、お茶、スポーツドリンクなど、多種多様なラベルが散乱しており、本来の床面は一切確認できない。
ペットボトルは幾重にも重なって層を成しており、足を踏み入れるとプラスチックが潰れる乾いた音が室内に響く。
部屋の左側にはプリンターが置かれているが、その上にも書類、ビニール袋、空き箱が乱雑に積み上げられており、機能は果たしていない。ほかにも、そのようにして使われなくなった家電がゴミの中に埋まっている。
ゴミの堆積は壁や家具との境界線を曖昧にし、部屋の間取りそのものを消失させていた。ゴミを掻き分けながら歩いていると、ここが4LDKであることを忘れてしまうのだ。
リビングの隣にある和室の入り口は、さらに深刻な状況だった。白い半透明のレジ袋が天井近くまで垂直に積み上がっている。袋が圧縮されながら重なり、巨大な壁のような状態となっていた。袋の中には、ペットボトルや食品パッケージが透けて見える。
そのさらに奥にある和室が、男性の生活スペースだった場所だ。同じく白い半透明のレジ袋が天井近くまで積み上がっている。1つを手に取り袋を破いてみると、中からは「ゆで卵」「パン」「野菜ジュース」の空容器が出てきた。
1食済むごとにゴミをレジ袋に入れて結び、部屋の中に投げ捨てていた様子が見てとれる。
ゴミ山の中でインスリン注射を打つ日々
このゴミ山の中にできた、わずかなくぼみが男性の寝床だった。1食ごとに袋へまとめられたゴミに囲まれた場所で、男性は食事を摂り、眠っていた。窓は積み上がったゴミによって塞がれている。


















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