高級食パン「銀座に志かわ」カフェ事業進出で凋落からの起死回生なるか? 新店舗を訪ねて感じた"正直な印象"と試されるネームバリューの強さ

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すでに「インスタ映え」といった言葉が一段落した現在は、派手な見た目のドリンクやスイーツの店ではなく、日常の中で気軽に使えるカフェが人気だ。特に休日に都心に繰り出すと、街に座って休める場所がないのかカフェはどこも激混みである。

そこで、パンという商材は日常使いに非常に都合がいい。おやつにもなるし食事にもなるし、テイクアウトでプラスアルファの売り上げも取れる。

かつベーカリーがカフェを展開するメリットとしては、小売店単体よりも食材ロスを減らして、原価率を抑制することができるという点もある。どういうことかというと、小売りで販売する食パンはある程度、賞味期限が先でないと売り物にならないが、イートインであればその場で食べるので小売り賞味期限を気にしなくてよい。

食パンは日が経つにつれおいしさが減っていくことが多いが、まさにGINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERYのフレンチトーストやラスクのような食パンのリメイクメニューであれば、賞味期限が迫ったパンも味に問題なく提供できる。

GINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERY
「和三盆と黒蜜のフレンチトースト プレーン」1200円。食パンを卵液に浸して焼くフレンチトーストなら、多少日が経った食パンでも味に問題はない(写真:筆者撮影)

圧倒的ネームバリューを活かして勝機をつかめるか

銀座に志かわも、このカフェ人気に乗ってブランドの再生を図れる可能性はありそうだ。

ベーカリーカフェ全盛の今、銀座に志かわの強みは何だろうか。まずは圧倒的なネームバリューだろう。良くも悪くも「高級食パン」ブームの一端を担った存在として多くの人に知られている。

筆者は実際に店舗を訪れてみて、その客層の幅広さに驚いた。三田慶應大店のほか、蔵前店にも足を運んだが、お客はやはり老若男女が見受けられた。いつもここで食パンを買っているであろう主婦から、散歩途中に立ち寄る高齢者、写真を撮って楽しむ若い女性、男性おひとりさまでのランチで利用まで、非常に幅広い。

GINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERY
洗練された雰囲気の蔵前店の店内(写真:筆者撮影)

メディアは高級食パンを「オワコン」呼ばわりするが、銀座に志かわの食パンは決してミーハーな人たちだけが買うものではなかった。これまで積み重ねてきた底堅いファンに支えられ、着実に人々の生活に根付いたブランドだと言える。カフェ事業でこのブランド価値を最大限利用し、かつての繁栄を取り戻せるかに注目したい。

大関 まなみ フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人

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おおぜき まなみ / Manami Ozeki

1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月より飲食業界のトレンドを発信するWEBメディア「フードスタジアム」の編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100人の飲食店オーナーを取材する。
Instagram:@manami_ohzeki

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