高級食パン「銀座に志かわ」カフェ事業進出で凋落からの起死回生なるか? 新店舗を訪ねて感じた"正直な印象"と試されるネームバリューの強さ

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とはいえ、平日の昼間というのもあって客入りはぼちぼちだ。筆者は大きな窓に面したテラス席で優雅な時間を過ごしたが、吹いていたのは心地よいそよ風で、ここには最大瞬間風速が吹き荒れてはいなかった。場所はいいので、工夫次第でもう少し集客することもできそうだが。

GINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERY
窓に面した縁側のような席でほっとひと息つける(写真:筆者撮影)

なぜカフェに転換? 他ブランドの例から考える

それまでは食パンのテイクアウト販売のみだった銀座に志かわが、なぜイートイン付きのカフェに転換するのか。

それはもちろん今までのビジネスモデルが通用しなくなったため、次なる手を打たなければならないからだ。銀座に志かわ自身も、高級食パンが「最大瞬間風速」であることは百も承知のはずだ。

ブームにさらされた商材は遅かれ早かれ岐路に立たされる。撤退か、別の道を模索するか。多くの高級食パン事業者が撤退を選択するなか、銀座に志かわはカフェへ転換という「第二章」に進んだ。この例以外にも、小売り中心だったブランドが自社商品を生かしたイートイン業態を展開し、巻き返しをはかったりさらなる規模拡大を狙ったりするケースは多い。

例えば、タピオカブームの旗手、ゴンチャはブームが下火の今もなお好調な展開を重ねている。同社はもともと台湾茶のブランドであり、実際には「タピオカ屋ではない」のだが、良くも悪くもタピオカブームに巻き込まれている。しかし、ブームが終わった現在もなお拡大基調だ。

ゴンチャ
ゴンチャは「ティーカフェ」を標榜し、タピオカのことも決してタピオカと言わず「パール」と表記している(写真:筆者撮影)

初期のゴンチャはテイクアウト専門の小さなスタンド形式の店舗が多かった。ところがタピオカブームが下火になってからは、広めのイートインスペースを備えた店舗をよく見かけるようになった。腰掛け程度のベンチではなく広々としたテーブルで、電源が用意されていることもある。ドリンクを楽しみながらちょっとした作業もできてしまいそうだ。

ブランドのフェーズに合わせて店舗の役割を変化させていることが、ゴンチャがいまだ強い要因のひとつだろう。

ゴンチャ
ゴンチャのアトレ四谷店はイートインスペースを完備。窓際のカウンターから2名掛けのテーブルまで全19席(写真:筆者撮影)
ゴンチャ
窓際カウンター席には「どうぞごゆっくり」と言わんばかりにコンセントも(写真:筆者撮影)
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