医師になることを決めたSakiさんは、環境面・金銭面を考慮して都内でかつ、私立大学以外の医学部を目指そうと決めます。その過程で、総合大学であり自身の在籍校である東京大学の理科3類を志望することを決めます。
6年間のブランクがあるため、不安はあったそうですが、わずか2週間の勉強期間で最初に受けた東進の東大模試で総合偏差値70、B判定を獲得し、「偏差値55くらいなら辞めようか悩んだけど、これはもう受けるしかない」と思ったそうです。
そして国際学会に行った10月以外は受験勉強を続けた結果、その後の模試ではすべてA判定を獲得。共通テストでは90%を獲得しました。
そして迎えた2次試験当日。東大の正門前は報道関係者でごった返していました。
「正門の混雑をスルーして、弥生キャンパスへ向かって直進しました。理3の試験会場は、本郷ではなく、少し離れた弥生キャンパスなんです」
その「直進」には、6年分の意味が込められていました。
「18歳の時、僕は正門の方——理科1類の試験会場へ向かった。でも今回は違う。まっすぐ弥生キャンパスへ向かう。それは18歳の時にできなかった決断そのものでした。人生の『岐路』を、今度こそ正しく選んでいる。そんな感覚がありました」
試験会場は40平米ほどの小教室。そこに同世代の学力上位0.04%が凝縮されています。
「数学と理科が難化して、正直落ちたと思いました」
しかし結果は、合格者平均点付近での合格。6年のブランクを経て、わずか半年の勉強で東京大学理科3類に合格しました。
半年の勉強で東大理3に合格、その時の心境は?
「番号を見た時、どんな気持ちでしたか?」という質問にSakiさんは正直に語ります。
「安心はしました。でも、喜びは湧いてこなかった。理3に入るとしても年間50万円の授業料は全額自分で賄わないといけないし、内定先を蹴って50万を払いながら東大に通うのは可能なのか、という極めて現実的な悩みと、『理3に受かっても何も変わらなかった』という諦念が襲ってきました。結局、外資系のエンジニアとして勤務をしながら理3に通うという選択をしました」


















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